新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校措置を受け、県教育委員会は22日、家庭でも学べるオンライン学習の導入を県立高校などで加速させる方針を明らかにした。授業の動画配信を受けられないなど生徒間の格差が生じないよう、無線LAN「Wi─Fi(ワイファイ)」が使えない家庭の通信環境を整備。県教委は「仮に休校期間が長引いても、学習機会が保障できる環境を整えたい」としている。
オンライン学習は、各校の教諭による授業の動画配信をはじめ、双方向でやりとりできる遠隔授業、データ化したプリントの配布・提出─などを想定。すでに一部の学校で導入している取り組みを拡充させる。
Wi─Fi整備は、5月の連休明けにも各家庭の通信環境を調査。機材の必要数を把握し、学校単位で調達して生徒に3カ月程度貸し出す形を検討している。
今月24日の県議会臨時会に提案する補正予算案に、機材提供など約2億円を盛り込んだ総額13億2400万円の「学校生活の環境整備」事業を計上する。
県教委によると、Wi─Fiは2019年度までに県立の高校と中等教育学校計140校に整備。計約12万人の全生徒に学習管理サービスのアカウントを配布し、校内では生徒のスマートフォンなどでデータ化した学習課題などの受け渡しができる環境が整った。一方、家庭の通信環境が未整備の生徒は1校当たり30〜40人程度いるとみられ、自宅のネット環境の整備が課題だった。
新型コロナウイルスの感染拡大を巡っては、特措法に基づく緊急事態宣言を受け、県立学校は5月6日まで休校中。「学習課題の指導」として生徒を登校させることはできるものの、安全面の懸念から「極力学校には呼びたくない」という事情もある。
黒岩祐治知事も4月22日の定例会見で「宣言が延長されれば措置も延長になる。学校も基本的に同じ」と言及、休校期間延長の可能性も踏まえ、通信環境の整備に取り組む方針を決めた。