<文科省初調査>
豪雨や台風で被災の恐れがある浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地し、自治体が防災上の配慮が必要と判断している公立学校(小中高や幼稚園など)は全国に1万1175校あり、全体の29.9%に上ることが8日、文部科学省の調査で分かった。このうち、当該施設に義務付けられた避難計画を作成したのは80%前後で、浸水対策の実施は15%ほどにとどまった。(松島 佳子)
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県内で川沿いの洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域などに立地し、防災上の配慮が必要とされている公立学校(幼稚園など含む)は711校に上り、全体(1516校)の46.9%を占める。記録的な豪雨となった2019年の台風19号を機に対策が進んだ地域もあるが、実践的な避難訓練や防災教育は広がっていないのが実情だ。
文部科学省の集計などによると、県内で洪水などの浸水想定区域に立地するのは344校で全体の22.7%。急傾斜地などに隣接した土砂災害警戒区域は397校(26.2%)だった。このうち30校(2.0%)は両方に該当していた。土砂災害警戒区域に立地する学校数は横浜市が200を超え、約半数を占めた。
ただ、これらは昨年10月時点の状況で、調査や防災計画の見直しが進むと、さらに増える可能性がある。県教育委員会は「国のガイドラインや対策事例集などを基に、市町村教委を通じて一層の取り組みを促していきたい」としている。
台風19号で浸水や崖崩れなどが相次いだ川崎市や相模原市では立地環境を考慮し、授業で一人一人の防災行動計画「マイ・タイムライン」を作った学校もある。相模原市立相陽中学校は相模川の浸水想定域外にあるが、台風19号で体育館付近が浸水したため、出入り口に止水版を設置した。
こうしたリスクに応じた対策は一部にとどまっており、川崎市内のある小学校の校長は「地域を巻き込んだ防災教育をいかに進めていくか」を課題に挙げる。(渡辺 渉)