新型コロナウイルスを巡る緊急事態宣言が30日の期限で2カ月ぶりに解除される。県内でとりわけ影響が大きかった百貨店では、酒類提供の停止が解除され、安堵の声が上がる一方、感染再拡大への懸念は強い。売り上げ低迷が続く百貨店も警戒を緩めておらず、関係者は一様に早期のコロナ加速を望んでいる配慮を行うとしている。(田中大樹、井口孝夫、細谷康介)
「ようやく本来の学校に戻れる」。県立高校の50代の男性教諭は、緊急事態宣言の解除に伴う通常授業と部活動再開を歓迎した。一方で、宣言下では制限されていた授業や部活動について「実力差が開いてしまう」と振り返った。
分散登校を実施している県立高校では、授業は対面式とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド型」で進めてきた。学びを止めまいと取り入れられたオンライン授業だが、内容を理解する生徒が難なくこなす半面、「理解度の低い生徒が『分からない』と声を上げにくく、教師も気付きにくい」との課題に直面していたという。
男性教諭は野球部の指導者も務め、グラウンドでも「(他校との)差を埋めることに苦戦した」。県教育委員会は部活動を原則中止とし、公式戦を控えるチームについては試合の14日前から活動を認めていたが、同校は8月下旬の秋季県大会地区予選で敗退。大会前の練習日も分散登校で選手がそろわずに連係プレーの確認さえできないなど、もどかしい日々が続いていた。
「感染拡大を防ぎ、生徒たちを守ることが大前提」と語る男性教諭は、「感染対策と学校活動をどう両立するか。現場でも考えていきたい」と話した。(清水嘉寛)