新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、県内の公立高校に通う生徒の感染も急増している。今月に入って報告された感染者数は80人で、昨年12月の5人から16倍に増加した。これまで主流だったデルタ株よりも感染力が強いとされるオミクロン株の影響とみられる。
18日に開かれた県議会新型コロナ対策特別委員会で、県教育委員会が集計した感染状況を報告した。
集計によると、今年1月に入ってから報告された公立高校生徒(中等教育学校を含む)の感染者数は80人(13日現在)。今月末までには100人を超えるペースとなっている。100人を超えれば昨年9月(351人)以来となる。
県教委は6日、オミクロン株の市中感染を踏まえ、これまで以上に緊張感を持って感染防止対策を引き続き徹底するよう県立学校に通知した。ただ、「室内競技の部活動などで感染が広がるケースもある」(担当者)という。新型コロナ感染者の発生に伴い、今月は13日までに県立学校7校が臨時休校の対応を取った。
県はまん延防止等重点措置の適用に向け、教育現場への要請内容を検討している。黒岩祐治知事は17日、記者団に「何をどうお願いするかは、教育委員会とも情報共有したい。受験シーズンでもあり、細かな配慮をしながら決めたい」と話した。(川口 肇)
県内 割れる休校判断
1人陽性=学校閉鎖/クラスター=学級閉鎖
新型コロナウイルスの感染者が急増している県内の公立小中学校で、陽性者の判明に伴う休校の判断が自治体によって割れている。1人の確認で学校閉鎖とする自治体がある一方、クラスター(感染者集団)が発生しても学級閉鎖にとどめるケースも。文部科学省がガイドラインを示しているものの最終判断を現場に委ねていることが要因で、学校関係者からは「保護者が混乱しないためにも、統一基準が必要ではないか」との声が上っている。
「1人でも陽性者が出たら学校閉鎖にしている」と説明するのは、伊勢原市教育委員会の担当者。実際、市立小中学校での感染者は18日で8人にとどまるが、計5校を学校閉鎖としており、保健所による濃厚接触者の調査が完了するまで継続するという。
念を入れた対応について、担当者は「専門知識がないため、万全を期す必要がある」とし、もう一つの理由として「市内には1学年1クラスという学校があり、学級閉鎖イコール学年閉鎖となる。地域で感染した人数や生徒が特定されてしまう恐れもある」と話す。
ただその一方で「感染者が出るたびに閉鎖と再開を繰り返すことになってしまう。この運用が限界にきている認識はある」とも明かし、今後、判断基準の見直しを議論していくという。
文科省のガイドラインによると、学級内で感染が広がっている可能性が高い場合や感染者が1人でも周囲に未診断の風邪の症状がある者が複数いる場合などは「学級閉鎖」。複数の学級を閉鎖するなど学年全体で感染が広がっている可能性が高い場合は「学年閉鎖」。複数の学年を閉鎖するなど学校内で感染が広がっている可能性が高い場合は「学校全体の臨時休業」(学校閉鎖)としている。
ただ、こうした基準も目安にすぎず、「感染拡大の可能性」を検討するのは各自治体の教育委員会とされている。
横浜市では、児童生徒や職員の感染者が増え、学年閉鎖と学校閉鎖がそれぞれ1校となっている。藤沢市では18日までに同じ市立小学校で計7人の陽性が判明したが、学級閉鎖にとどめている。
ある学校関係者は「もっと具体的な統一基準がないと保護者や地域に混乱が広がる。県や国が明確な基準を示してほしい」と話す。(報道部)