新型コロナウイルスの感染拡大に伴う県立学校の臨時休校数が、最も多い日で58校に上っていたことが県教育委員会の集計で分かった。全169校の3分の1に当たる学校が閉ざされた形で、県教委は教育活動への影響わ最小限に抑えられるよう対応を変更。濃厚接触者の候補を学校現場で調べる方式に切り替え、学びの場の確保に取り組んでいる。
県教委の集計によると、臨時休校は「第6波」が拡大した1月中旬から増加。ピーク時の24日は58校が休校した。地域別内訳は横浜市内が23校、県央地区が8校、相模原市内が7校―の順で多く、21、25日もそれぞれ44校が休校となった。
各校は生徒や教職員の感染が判明した場合、校内の濃厚接触者が特定されるまで臨時休校の措置を取っている。感染拡大を防ぐ狙いだが、生徒の活動範囲が広がったり保健所業務が逼迫していたりして濃厚接触者の特定に時間がかかり、休校期間が長引くケースもあるという。
このため、県教委は1月末から、学校側が濃厚接触者の候補をリスト化して保健所に報告するよう運用を変更。厚生労働省が昨年出した事務連絡を受けた対応で、保健所業務の負担軽減や校内の濃厚接触者を迅速に特定する狙いがある。2月の臨時休校(3日現在)は、最も多い日(1日)で7校にとどまっている。
学校現場などの奮闘で休校数は減少傾向にあるものの、受験生の保護者からは不安や懸念の声が上っている。
「綱渡りの心境」と話すのは、長男が高校3年生の母親(47)=茅ヶ崎市。手洗いやうがいなど感染防止に万全の注意を払っているが、感染者増加に歯止めがかからない現状に「まるでロシアンルーレットみたい。いつ感染しても不思議ではない」とこぼす。
別の受験生の親からは、家族に熱やせきなどの症状が出ても「病院には行かない」という話を聞いたとも打ち明ける。陽性や濃厚接触者と認定されたら外出できなくなり、試験を受けられないばかりか予備校など広範囲に影響を及ぼすからだ。
また、受験会場では検温を義務付けられているため、発熱時に備えて解熱剤を携帯している受験生も少なくないとも聞いた。母親は「受験は人生が懸かっている。誰もが追い詰められているし、一人の親として気持ちは理解できる」と複雑な胸中を語った。(川口 肇、織田 匠)
◆県立学校生徒の感染状況 県教委保健体育課によると、今年1月からの県立高校、中等教育学校の生徒の感染経路は、不明65%、家庭内22%、校内7%、その他7%。