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全日制欠員最多1521人

神奈川新聞2022年03月06日

県内公立高 充足率4割の普通科も

 県内公立高校入学者選抜で全日制の欠員が前年度比482人増の1521人に上り、現行の共通選抜制度を導入した2013年以降で最多となった。普通科で充足率が定員の4割台にとどまる学校も複数あり、抜本的な対策が求められる。
 県教育委員会によると「定員割れ」となる欠員(2次募集の募集人員)は18年度18校338人、19年度34校615人で推移し、これまで最多だった20年度は41校1071人に達した。21年度は37校1039人に微減したものの、22年度は36校1521人に大幅に増加した。最小の14年度は7校35人だったが、近年は高水準が続く。
 22年度の内訳は普通科11校336人(前年度比21人増)、学力検査を課さずに面接などで選抜する普通科クリエイティブスクール5校271人(同122人増)、専門学科15校595人(同187人)。単位制では普通科4校132人(同96人増)、総合学科2校166人(同151人増)、専門学科3校21人(同95人減)だった。複数の学科で欠員が生じている学校があり、延べ40校に上る。クリエイティブスクールと専門学科、単位制総合学科の増加が目立つ。2次募集の志願者数は4日時点で計206人だった。
 定員割れの学校には、家庭の状況や経済的な理由から支援が必要な生徒が多く在籍する「課題集中校」も含まれ、普通科では充足率4割台が2校、5割台が2校ある。4割台の1校は20、21年度に5割台で推移するなど改善の兆しが見えない。専門学科では、複数の学科のうち1学科が3割台の学校が1校、同様に4割台が1校、5割台が3校(1校は単独科)。単位制総合学科では1校が4割だった。
 教育関係者の間では定員割れの理由として、国や県の補助によって学費の一部無償化が進んだ私学や、都道府県をまたいで募集する「広域通信制」を選択する生徒が増えていると指摘する声が上がり、公立の地盤沈下への懸念は強い。県教委高校教育課は「公立中学卒業予定者数を踏まえて定員計画を作成しているが、中学生の進路希望は多様化している」としている。(成田洋樹)