県教育委員会は26日、公立高校入試で全日制と定時制の受験者全員に課している面接について、一律の実施は取りやめる方針を明らかにした。10分ほどの面接での評価は難しいほか、入試期間の長期化で中学と高校に影響が出ていることなどが理由。一律実施は全国的に珍しく、面接実施を継続する高校は各校の判断で行う「特色検査」という形で残す。現在の中学2年生が受験する2024年度入試から適用する。(成田洋樹)
現行制度が始まった13年度入試以降で大きな変更は初めて。面接実施校は23年5月ごろまでに公表される。教育関係者には「大学進学実績向上へ学力検査を重視する進学校では、面接を取りやめる学校が多いのではないか」という見方がある。
全日制と定時制の入試では、全員が学力検査と面接を受ける。これに加えて、特色検査を実施している学校もあり、受験生の負担を懸念する声が上っていた。また、高校では入試期間の休校が5〜6日間に及び、在校生の学習にも影響が出ている。
県教委はこうした課題を踏まえた上で、新学習指導要領で育成が求められている「学びに向かう力」は日頃の学習への姿勢に関わることから、短時間の面接で評価することは難しいと判断。新要領で学ぶ現在の中2からは面接の代替として、これまでも中学での成績などを示すものとして選抜資料になっている調査書の評価項目のうち「主体的に学習に取り組む態度」で評価する。
これまで高校現場からは、短時間の面接では評価が難しいとして実施を疑問視する声が上っていた。一方、中学側は学力だけによらない評価の必要性を強調した上で、中学段階での面接指導は教育的意義も大きいとして一律実施を求める声もあった。保護者からは「面接への準備を重ねることで、本人が成長する機会になった」という意見もあった。
現行制度以前は前期と後期の日程で行われ、前期は面接と調査書で、後期は学力検査と調査書でそれぞれ合否判定していた。現行制度はこれを一本化し、全員に面接を課すことにした。
制度の変更を巡っては、県や政令市などの教育委員会職員のほか教職員組合やPTAの関係者、研究者らで構成する協議会で昨年11月から検討。3月に報告書をまとめ、県教委が検討を進めていた。