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部活動は今 ウィズコロナの大会

神奈川新聞2022年06月30日

運営、観覧方法に変化
動画中継など充実 出場制限の救済も

 新型コロナウイルスの感染拡大を経て、高校スポーツの大会でも新たな試みが定着しつつある。無観客開催で会場に入れない保護者らに向けて動画配信を始めたり、人数制限でひのき舞台に立てない選手のために記録会を催したり。今年の3年生は入学時から翻弄(ほんろう)されてきた世代。各競技の関係者らは、我慢を強いられてきた子どもたちに晴れの場を整えようと模索している。(須藤望夢、写真も)


 今月18日、シンコースポーツ県立武道館で行われた県高校総体の柔道団体戦。全国切符を懸けた畳に、スマートフォンが向けられる。県高体連柔道専門部は無観客開催となった一昨年の代替大会を機に動画中継を開始し、昨年度からはインスタグラムを利用した生配信を軌道に乗せた。四つのアカウントに延べ4700人ほどがフォローしている。
 「若い先生の提案。手軽に配信できるし、保護者を中心におおむね好意的な声を頂いている」と同専門部の鏑木文隆委員長。「見づらい、カメラの前に人を立たせるなという指摘もあって」と頭をかきつつ、導線の確保など工夫を重ね、充実に努めている。
 部員や父母らに配慮した取り組みには、競技普及への期待もにじむ。県総体団体戦の出場校は1994年の男子139校、女子47校からそれぞれ30校、15校に減少。
「すごい勢いで減っている。中学生たちに神奈川で柔道を続けてほしいというメッセージも込めているつもり」

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 競泳界でも映像配信は進んでいる。24日から3日間、横浜国際プールで行われた県総体は動画投稿サイト「ユーチューブ」で中継された。「昨年の新人戦から導入し、かなり見ていただいている。今後もぜひという声が出ている」。県高体連水泳専門部の金子太委員長の声は明るい。
 花形競技だけに苦渋の決断もあった。2019年まで県総体には男女計約1500人が出場していたが、感染拡大防止の観点から持ちタイムで出場選手を制限。今年は男女計767人に絞った。
 「県総体が最後の大会という学校も多く、特に今年の3年生は本当にかわいそう」。そこで1、2年生が対象となっていた夏季記録会の出場枠を本年度から拡大。県総体の出場資格を得られなかった3年生のエントリーも可能とした。
 「記録会に出られた子は喜んでいたし、これで区切りを付けて引退という子もいたと聞いている。できれば継続したい」と金子委員長。コロナ禍を契機とした取り組みとあって、柔道専門部の鏑木委員長は撮影環境の改善を検討しつつ、こうも言う。「一番は会場で見てもらいたい。来年も、というのは考えたくはない」