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根強い反対も進む準備

神奈川新聞2023年10月14日

翠嵐定時制の募集停止計画

 外国にルーツがある生徒らを20年にわたって支援してきた県立翠嵐高校定時制(横浜市神奈川区)の募集を2026年度から停止する計画が動き出している。反対意見が根強く残る中、同校の存続を求めている市民団体は「既成事実化だ」と批判を強めている。
 県教育委員会が昨年10月に策定した計画では、入学者が定員の3割に減少している県立夜間定時制18校の適正配置として、翠嵐など6校の募集を停止。翠嵐での取り組みは、26年度に神奈川工業高校定時制(同)に新設される普通科で引き継ぐとしている。
 13日には、神奈川工業の教員らが翠嵐の授業を見学した。その後、両校教員による意見交換会も行われたが、「ざっくばらんに話し合うため」(県教委)などの理由で公開されなかった。終了後、取材に応じた両校校長と県教委によると、引き継ぎに向けてカリキュラムや日本語の授業の実施方法、生徒を支援する体制について意見が交わされたといい、連携を密にしていくという。
 翠嵐の募集停止計画を巡っては、同校元教員や支援者らでつくる「横浜翠嵐高校定時制の存続を求める会」が「存続させて長年の実績を生かすべきだ」と訴えており、計画の撤回を求める署名を8月上旬、県教委に提出した。県教委は9月下旬、神奈川工業の方が交通利便性が高いなどとして「計画の撤回は考えていない」と回答した。
 翠嵐定時制元教員で同会共同代表の鳥山洋さんは「なぜ翠嵐を閉校にし、別の高校でわざわざ一から取り組みを始めるのか。この疑問に説得力のある説明がいまだなされないまま、県教委は計画を既成事実化しようとしている」と批判した。(成田 洋樹)