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割れた休校の判断

神奈川新聞2026年06月19日

台風6号 一律の基準なく

 台風6号が襲来した3日、県内の公立学校の多くが臨時休校した。全校が休校した市町村が大半だったが、学校によって対応が分かれた自治体もあった。休校の判断に一律の基準はなく、各校長の判断が前提になっている。ただ今回は関東甲信地方への接近が予想され、事前に警戒を呼びかけられていただけに、専門家は「子どもや教職員の安全を確保するため、教育委員会が一律で、早めに決めた方が良かった」と指摘する。(井口孝夫、中馬健作)
 
 文部科学省によると、休校は学校教育法施行規則に基づいて各学校長が判断する。ただ市町村や都道府県の教育委員会が決めることも学校教育法施行令で認められている。
 横須賀市教委は2日午前11時の段階で、全70校の休校を決めた。担当者は「基本的には学校長の判断だが、今回は雨が強く降るとの予報で、登校中に大雨になる恐れもあった。対応を迷う学校もあるだろうと考え、市教委で判断した」と説明。「子どもたちの安全が第一。(休校が)『空振り』になっても致し方ない」と答えた。
 相模原市も全103校が休校。いずれも2日午後4時までに休校を決め、市教委に報告するなどした。担当者は「コロナ禍では市教委が一斉休校を決めたが、それは国からの要請があったから」と強調。「規則に基づいて各校長が判断するものと捉えている」との見解を示した。
 一方、横浜市や川崎市、逗子市では各校で判断が割れた。
 横浜市は、当日午前6時の時点で警戒レベル4に相当する危険警報が発表されている否かを目安に、各校が判断している。
 3日は市北部、南部とも午前6時の時点で危険警報は発表されていなかったが、午前8時半までに計501校のうち、7割近い334校が休校を決めた。前日に判断した学校もあり、市教委の担当者は「川や崖に近い、通学路が浸水リスクの高い区域にあるなど、学校ごとの事情がある」と推察する。
 同市旭区に住む70代女性には小学校3年の孫かいる。3日は午前5時ごろから台風に関するニュースをチェック。学校から休校の連絡はなく、孫は母親の車で午前8時ごろに登校した。直後、休校を告げられたという。
 女性は「大雨の中、親子で登校し、災害に巻き込まれる危険性があった」と振り返り、「台風接近は数日前から報道されているのだから、市教委か前夜までに休校を決断すべきだったのでは」と投げかける。
 担当者は「早めの判断など、さまざまな意見が出ているのは承知している」と前置きした上で、前日に休校を決めることで当日晴れていても仕事を休まないといけない共働き家庭もあることや、安全を前提に学習機会を確保する重要性にも言及。「現行の基準で改善を検討したい」とした。
 川崎、逗子の両市も、当日午前6時の時点で「レベル4大雨危険警報」が発表されているか否かなどを基に、各校が決めている。
 川崎市内にも午前6時の時点で危険警報は出ておらず、175校中172校が登校を決めた。市教委の担当者は「今回の対応を振り返り、休校の判断基準に課題があれば対応を検討していきたい」と述べた。
 逗子市内にも午前6時の時点で危険警報は発表されていなかったが、校長から問い合わせがあったため、市教委と小学校の校長会会長が協議するなどし、登校を決めた。だがその後、レベル4土砂災害危険警報とレベル4大雨危険警報が相次いで出され、保護者らから「登校させるのか」などの意見が寄せられた。保護者の判断で登校を見合わせた子どももいたという。担当者は「家を出発してから『休校にする』と言われても混乱する家庭もあるだろう。今回の対応を振り返り、見直しを図りたい」とした。