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足柄送信所の史跡に光-「社会科研究」26日全国大会

神奈川新聞2026年07月24日

足柄高・瀬戸さん出場
文献や聞き取り成果発表

 戦時中に山北町谷峨に設置されていた国際電気通信(現KDDI)の「足柄送信所」。終戦時に海外の在留邦人に向けて「玉音放送」を流した貴重な史跡に、県立足柄高校(南足柄市怒田)の生徒が光を当てている。文献や聞き取り調査をもとに戦時下に果たした役割を研究するとともに、アンテナの遺構も発見。成果は26日に横浜で開かれる全国大会で発表する予定で、「最優秀賞を目指したい」と意気込んでいる。(須藤 望夢)

 研究に取り組んだのは同校歴史研究部で部長を務める瀬戸煌生さん(3年)。昨年度まとめたリポートが県の高校社会科研究発表大会で私学理事長賞を受賞し、聖光学院高校(同市中区)で開かれる全国大会への出場を決めた。
 足柄送信所は空襲被害を受けないよう御殿場線の廃トンネルを活用して頑丈に造られた「耐弾送信所」で、1944年11月に完成。海外への送信を可能とする通信機器を備え、翌年8月15日に満州(中国東北部)や上海、東南アジアの在留邦人に向けて玉音放送を流したとされる。
 瀬戸さんは先輩から紹介されたことをきっかけに、「山北にはよく行くが、送信所の存在は知らなかった」と自身の研究テーマに設定。当時勤めていた人の回想録や先行研究のほか国立国会図書館に残る文献を読み込んで謎の多い実態に迫った。
 44年夏に各送信所への機銃掃射があったことから耐弾送信所として設置する必要性があったとし、トンネル内に造られた特異性を検証。当時の運用や役割を解き明かした上で、観光資源としての活用も提言し戦争遺構の保全の必要性を訴えた。
 「教科書に載らない歴史を掘り下げることに意義がある」と瀬戸さん。今年7月には近隣住民の証言をもとに畑の一角に残るアンテナの基盤や倉庫に眠っていたアンテナの支柱なども見つけた。全国大会では直近の研究成果も肉付けして報告するつもりで、「先行研究にもアンテナの実物の存在は記載がなかった。大きな成果」と力を込める。
 足柄送信所から発せられた玉音放送を朝鮮半島で聞いたという高齢女性にも出会い、改めて研究の意義をかみ締めた。卒業後も大学で学びを深めたいとしており、「昭和史、特に太平洋戦争に関心がある。フィールドワークにも取り組んでいきたい」と思い描いている。

 
足柄送信所があったトンネル=山北町谷峨(足柄高提供)