この中で、とくに基本となっているのは2.の項目である。他の項目はこの基本となる2.を実現するための条件とみることもできる。『その教育を受けるに足る能力・適性等』とあるように、ここでは『特色づけられた学校』の教育に適格か否か、という個々の高校についての『適格者主義』が、明確に語られている。その『適格者』を集めるためにこそ『同一時期、同一問題』で試験を実施する必要もないし、『可能な限り広い範囲から受験できるようにする』ことも望ましいのである。そして、選抜資料を多面化し、多様な尺度をもちいることにより、確実に『適格者』を選びだそうとすることが『望ましい』のである。入試『改善』はこの『各高校・学科ごとの適格者主義』を貫徹するために実現されなければならない。これが84年の通知の骨格であった。
- 公立高等学校の入試は同一時期、同一問題で実施する必要はない。
- 各高等学校、学科の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものとする。
- 具体的には受験機会の複数化、学習成績以外の記録の積極的利用、普通科への推薦入学の積極的導入、面接の積極的利用が望ましい。
- 特色ある高等学校の学科等については、可能な限り広い範囲から受験できるようにすることが望ましい。
この報告をふまえて、文部省から新たな通知(93年2月22日)が出された。しかし、その内容はこれまで10年の間に進められた『改善』の現実を省みたものでない以上、前の通知をただ繰り返すものになったのは当然であった。ただし、この通知が出されて以後、全国における『改善』の進展はこれまで以上に加速され、文部省の通知内容とは異なる独自の入選方式を堅持してきた県にも、『改善』の波が本格的におよびはじめた。たとえば、これまで人口集中地域において総合選抜制度をとることにより、学校間格差の是正に成果をあげてきた広島県、2〜3校を組み合わせた合同選抜方式をとることにより学校問格差の是正に努めてきた大分県などにおいても、総合選抜、合同選抜を廃止し、文部省の通知にそった『改善』を進めようとする動きがはじまった。そして、これから新たに『改善』をすすめようとする県で示される案の中には、先の報告の中ではわずか3県にとどまるとされていた複数受験方式が含まれるケースも増えてきた。『改善』の動きは、その広がりにおいても、内容においても、これまで以上に強化されたものになってきた。そして、この動きはいよいよ神奈川県にもおよぶことになったのである。
昭和59年(1984年)の通知で指摘された事項について、平成3年度(91年度)の実施状況を見ると、実技検査等の実施は35県、英語のヒアリングの実施は44県、推薦入学の実施は45県、うち普通科でも推薦入学を実施しているのは25県、面接の実施は47県、うち全校で面接を実施しているのが17県とかなり積極的な対応ぶりが見られる。しかし、学力検査の時期を分ける方法による受験機会の複数化を図ることについては3県、特定教科への傾斜配点の実施等学力検査結果の活用の工夫を図ることは14県に止まっている。
ところが、5月に県教委が示した入選『改善』中間報告は、高課研の答申を受けながらも、そこに含まれていた限定には一切とらわれずに、文部省の報告を忠実に実行にうつそうとするものになっていた(資料3.公立高等学校入学者選抜制度の改善案P.51)。例えば、推薦制についてはこう書かれていた。
推薦入学については…特色ある学校・学科・専門コース等においても、推薦入学を実施できるようにすることが望ましい。
なお、普通科の一般コースへの推薦入学の導入については、今後の社会情勢の動向等も見極めながら、なお検討することが必要である。
高課研の答申では『社会情勢の動向等も見極めながら、なお検討することが必要である』とされていたものが、わずか半年の短い期間を置いただけで、『学校の特色に応じて実施できるものとする』と、『特色づくり』と結び付けるかたちで導入の方向がしめされたのである。『特色づくり』の進展しだいでは神奈川のすべての公立高校に推薦制度が導入される可能性がひらかれたのである。
普通科一般コースについては、学校の特色に応じて実施できるものとする。
生徒の希望を尊重する姿勢を見せながら、第一希望の枠を80%に縮小することは、明らかに矛盾である。この矛盾は取り合えず置くとしても、高課研の答申でこの項目が次のような表現にとどめられていたことを考えると、複数希望制の登場には不自然さが感じられる。
希望する高等学校が受験できるよう、学校選択の幅を広げるため、生徒の希望により第2希望校を志願できるものとする。
やや乱暴な言い方かもしれないが、中間報告は、高課研答申がためらっていた一線を一気に越え、93年の通知により強化された入選『改善』レースに遅れまいとして作られた、と言えるのではないだろうか。そのためにこそ、複数希望制は絶対に外すことのできないものだったのではないだろうか。
受験機会の複数化や、受験生の希望により第二希望校を認めるといった志願のあり方、あるいは再募集のあり方などについて積極的に検討する必要がある。
聞こえのいい文である。しかし、現在全国で進められ、そして神奈川にもおよんできた『改善』の動きが、『特色ある学校に適格な生徒を』という『適格者主義』から出発していることを思い起こすなら、この基本的視点が何を意味しているか、明らかであろう。生徒一人一人が自らの希望する高校を選択しても、高校は生徒一人一人の『個性や能力、適性を多面的に』とらえ、選抜する。そして『大綱』は続く箇所で『高等学校の特色づくり』を強調している。どんな文言で飾ろうとも、『大綱』の基本的視点が『特色ある学校』をつくり、その『特色』に応じ『適格』な生徒を選び出そうとする(裏を返せば『不適格』な生徒を排除しようとする)『適格者主義』以外の何ものでもないことは明らかであろう。
○今後、高等学校への進学率がさらに拡大する傾向にある中で、本県が進めてきた『ふれあい教育』の理念にのっとり、生徒一人ひとりの個性や能カ、適性を多面的にとらえ、調査書の評定や学力検査などのいわゆる数値のみではなく、生徒の特性や長所に着目した選抜制度とすること。
○そのために、生徒一人ひとりが、自らの進路希望に基づいて学校選択ができるような選抜制度であること。
項目 | 改正大綱 | 中間報告 | 高課研報告 |
---|---|---|---|
複数志願制 | 志願にあたっては、第1希望及び第2希望を志願できるものとする。なお、この場合においては、同一の高等学校を第1希望及び第2希望とすることができるものとする。各高等学校における第1希望の募集人員は入学定員の80%とし、第2希望の募集人員は20%とする。 | …生徒の希望により第2希望校を志願できるものとする。第2希望校は、第1希望と同一校または異なる学校・学科・専門コースとすることができるものとする。 | …受験機会の複数化や、受験生の希望により第2希望校を認めるといった志願のあり方、あるいは再募集のあり方などについて積極的に検討する必要がある。 |
推薦入学 | 普通科については、当該高等学校の入学定員のおおむね1O%とする。専門学科については、当該高等学校の学科ごとの入学定員の30%以内とする。 (なお、専門コース以外の普通科については、今後の課題とし、引き続き検討していくこととします) |
普通科一般コースについては、学校の特色に応じて実施できるものとする(10%程度)。専門コースについてはその特色に応じて実施できるものとする(10%程度)。専門学科については、全ての学科において実施する(30%以内)。 | 推薦入学については…他の特色ある学校・学科・専門コース等においても、実施できるようにすることが望ましい。なお、普通科の一般コースへの推薦入学の導入については、今後の社会情勢の動向等も見極めながら、なお検討することが必要である。 |
調査書の記載事項及び内容 | 1 各教科の学習の記録 中学校第2学年及ぴ第3学年の評定は5段階により行う。(第2学年の9教科の評点の合計)+(第3学年の9教科の評点の合計)×2学習状況 2 特別活動等の記録と所見 3 行動の記録と所見 4 参考事項 5 特記事項(記載対象者は20%以内) *従来、調査書に記載されていた「学習検査」「出欠の記録」及び「健康診断の記録」は削除します |
○各教科の学習の記録(評定・所見等) ○特別活動の記録と所見 ○行動の記録と所見 ○指導上参考となる諸事項 ○特記事項(記入対象者数は、20%程度) |
調査書について…現行の「特記事項欄」の主旨を生かすとともに、…「観点別学習状況」の取り扱いなどについて検討する必要がある。…中学校3学年における資料を十分重視できるよう工夫必要がある。学習検査の結果については、選抜資料としての扱いはせず… |
学習検査等の内容 | 普通科については、国語、社会、数学、理科及び外国語 (英語)の5教科とする。 普通科専門コース及び専門学科については、その専門性に応じて、3教科から5教科の範囲で、各高等学校が選抜できるものとする。また、実技検査及び面接を実施することができるものとする。 (第1希望校と第2希望校の受検教科数が異なる場合には、志願者は学力検査の受検の際、両校の選抜に対応できるように受検する) |
普通科については、5教科(国語、社会、数学、理科及び外国語(英語)とする。 専門コース及び専門学科については、学校の特色に応じて実施教科数を弾力的に扱うことができることとし、3教科から5教科の範囲で各学校が選択する。また、学力検査の実施教科数の弾力化扱いにあわせ、その学校の特色に応じて実技検査、面接を各学校で実施できるものとする。 |
(ア)学力検査の弾力的扱いについて 特色ある学校・学科・専門コース等においては、その特色に応じて学力検査の実施教科数を弾力的に扱えるようにするとともに、… (イ)実技検査の導入について特色ある学校・学科・専門コース等においては、その特色に応じて基礎的・基本的内容に関する実技検査を実施できるようにすることが望ましい。 (ウ)面接の導入について特色ある学校・学科・専門コース等においては、必要に応じて実施できるようにすることが望ましい |
学力検査等に基づく選抜の選考方法 | 1 調査書の評定と学力検査の比率は6:4とする。 2 第1希望の選考方法(普通科)調査書の評定及び学力検査の結果に基づき、第1希望の募集人員の70%までの合格者を決定し次に、調査書の評定、学力検査の結果及び調査書の評定以外の記載事項を活用して総合的に選考し30%の合格者を決定する。(普通科専門コース、専門学科)調査書の評定、学力検査の結果及び調査書の評定以外の記載事項を活用して総合的に選考し、合格者を決定する。学力検査についてはその専門性に応じて、特定の教科に傾斜配点をすることができる。 3 第2希望の選考方法 (1)普通科 調査書の評定、学力検査の結果及び調査書の評定以外の記載事項を活用して総合的に選考し、合格者を決定する。 (2)専門コース及び専門学科 第1希望と同じ方法 |
1 第1希望の選考方法 (1)普通科一般コ一スは次の選考I選考IIの方法により、順次合格者を決定する。 ア、選考I調査書の評定と学力検査により選考する。 (例)6:4、5:5 イ、選考II 調査書の評定と学力検査及び調査書の評定以外の記載事項により選考する。(例)6:4、5:5、4:6 調査書の評定以外の記載事項は各学校の特色や個性を生かすために活用する。学校の特色により、教科数を3教科から5教科の範囲で選考することや、特定の教科に傾斜配点をすることができる。 (2)専門コース・専門学科は上記選考IIの方法により選考する。 2 第2希望の選考方法 (1)普通科一般コース 調査書の評定と学力検査及び調査書の評定以外の記載事項により選考する。 (例)7:3、6:4、5:5 (2)専門コース・専門学科 第1希望の選考方法と同じ |
特色ある学校・学科・専門コース等においては、その特色に応じて学力検査の実施教科数を弾力的に扱えるようにするとともに、特色に応じた特定の教科に対する傾斜配点などができるようにすることが望ましい。 第2次選考については、今後、その比率を見直し、それぞれの高等学校の特色が生かせるような各高等学校独自の判定方法をあらかじめ公にして実施することが望ましい。 |
学区 | 学区については、神奈川県公立高等学校通学区域規則による。 (…隣接学区の扱いを設けることについては、今後の学区外への志願状況を見ながら検討することとします。) |
学区外志願限度枠の中に、隣接学区枠の扱いを新たに設ける。 | …隣接学区の扱いについても考慮する必要がある。 |
志願変更 | 志願者は、いずれの学校・学科・または専門コースへも志願変更をすることができるものとする。 | 学区内外を問わず、いずれの学校・学科・コースへも志願変更できるものとする。 | 専門学科と他の専門学科との間において、あるいは専門学科と普通学科との間において志願変更ができるようにすることが望ましい。 …学区外からの志願者も志願変更ができるようにすることが望ましい。 |
移行措置 | 1 平成7年度(現中学3年生) (1)推薦入学に基づく選抜 専門学科(学科毎の入学定員の30%以内)で実施する (2)志願変更 いずれの学校、学科または専門コースへもできる。 2 平成8年度(現中学2年生) (1)学習の記録、学習検査及び学力検査の比率5:1:4 (2)推薦入学に基づく選抜専門コース(約10%) |
1 平成7年度(現中学3年生) (1)推薦入学の実施校 専門コースは特色に応じて実施できる(10%程度) 専門学科は全ての学科において実施する(30%以内) (2)志願変更 学区内外を問わずいずれの学校、学科または専門コースへもできる。 2 平成8年度(現中学2年生) (1)学習の記録、学習検査及び学力検査の比率5:1:4、専門コース・専門学科については特定の教科に傾斜配点 (2)推薦入学に基づく選抜 普通科一般コースについて学校の特色に応じて1O%程度の定員で実施できる。 |
今回の報告に基ずく入学者選抜制度の具体化に当たっては、改善策の検討の中で、学習検査の取り扱いをめぐって現行制度の変更を懸念する意見もあったことを踏まえ、生徒に動揺を与えることのないように配慮しながら検討することが望ましい。 |
学習の記録 | 学習検査(ア・テスト) | 学力検査 | 選抜方法 | |
1948 | 報告書(指導要録) | |||
1950 | 国語、数学の2教科実施指導要録には記入せず | |||
1952 | 中学校に問い合わせすることができる | |||
1953 | 国、社、数、理の4教科報告書に記入 | 学習検査を参考資料とする | ||
1954 | 学習成績一覧表を提出 | 英語を除く8教科 | ||
1955 | 報告書と学習検査の比率を8:2とし、学習検査が明確に選抜資料に位置づける。 | |||
1956 | 報告書と学習検査を総合的に判断する | |||
1957 | 英語を除く8教科学習検査と同質同形式検査会場は中学校監督ほ中・高校の教員採点は高校の教員 | 報告書、学習検査、学力検査の比率ほ同等。 | ||
1958 | 検査会場を高校となる。総合的な「能力検査・知能検査」 | |||
1959 | 英語を加え、9教科 | |||
1961 | 英語を加え、9教科の学力検査とする。 | |||
1968 | 全学年9教科、5段階、計135点を100点に換算=a | 全学年に実施選抜資料ほ3年のみ9教科10段階計90点を100点に換算=b | 5教科、50点満点計250点を100点に換算=c | 総合順位D=a+0.6b+0.6c 第一次選考:Dで定員の85% 第二次選考:各高校で選考 |
1969 | 1、2年5段階、3年は10段階、計180点 | 1、2年で実施選抜資料は2年のみ9教科10段階計90点 | ||
1970 | 1、2年ともに選抜資料9教科計180点 | |||
1974 | 2年5段階、3年10段階、計135点偏差値=a | 2年10段階、計90点偏差値=b | 5教科、計250点偏差値=c | D=a+0.5b+0.5c |
1978 | 農業、水産学科に推薦入学を導入(10%) | |||
1980 | 3年国、社、数、理、英を1.5倍、他4教科を2倍特記事項欄10% | 実技4教科を0.5倍 | 第一次合格を80〜85% 農、水の推薦入学15% | |
1985 | 200点満点を100点に換算=a特記事項欄15%以内 | 70点満点を100点に換算= b | 250点満点を100点に換算=c | D=0.5a+0.2b+0.3c第一次合格80%推薦入学を工業、厚生にも拡大くくり募集専門学科で面接を導入 |
資料 |
高等学校の入学者選抜について(通知) 文部省平成五年ニ月二十二日
記
- 公立学校の入学者選抜の改善について
(1)多様な選抜方法の実施
(2)多段階の入学者選抜の実施について
(3)入学者選抜の資料について
(4)学力検査の在り方について
(5)調査書の在り方について
(6)面接について
(7)通学域について
- 私立高等学校の入学者選抜について
- 業者テストの偏差値を用いない入学者選抜の改善について
- 中学校における進路指導の充実について
- 留意すべき事項について
上記資料の抜粋 「1公立学校の入学者選抜の改善について」
記
1 公立高等学校の入学者選抜の改善について
(1) 多様な選抜方法の実施
ア 高等学校の入学者選抜は、各高等学校、学科等の特色に配慮しっつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものとすること。
イ 高等学校入学者選抜の在り方は、各学校・学科・コースごとの特色に応じて多様であることが望ましいこと。
さらに、同一の学校・学科等の中でも入学定員を区分して複数の尺度に基づく異なる選抜方法を実施することにも配慮すること。
このため、例えば、各学校・学科等ごとに、あるいは定員の一部ごとに、学力検査の実施教科や教科ごとの配点を変えたり、調査書と学力検査の成績の比重の置き方を変えたり、調査書の中の重視する部分を変えたりすることなどが考えられること。
(2) 多段階の入学者選抜の実施について
ア 受験機会の複数化及び推薦入学の活用などにより、多段階にわたり入学者選抜が実施されるよう十分配慮すること。
イ 推薦入学については、専門学科のみでなく、普通科においても教育上の特色づくりと並行して一層活用されるよう配慮すること。
ウ 推薦入学の実施に当たっては、その意義にかんがみ、スポーツ活動、文化活動、社会活動、ボランティア活動などの諸活動の実績などの資料による選抜方法の工夫を行うこと。
この観点から、調査書の学習成績の記録以外の記録の部分を重視した選抜を行うことはもとより、さらに、例えば、一定の定員枠を設けて、中学校長の推薦に基づき、長期間にわたる又は質の高い文化活動やボランティア活動の活動歴等により選考を行い、調査書の学習成績の記録の評定の成績を求めないこととする選抜を行うことが考えられること。
エ 推薦入学の実施時期については、中学校教育に悪影響を及ぼさず、また、中学校における教育活動の成果を十分評価することができる時期とすること。このため、推薦入学があまり早い時期に行われないよう、地域の実情に即し、教育委員会、知事部局、公立・私立高等学校及び中学校関係者が十分協議し、一層の改善を図ること。
(3) 入学者選抜の資料について
ア 合否の判定の際の調査書と学力検査の成績の比重の置き方については、生徒の選択の幅の拡大等のため、各学校・学科等、あるいは定員の一部ごとに異なる方式で合否の判定を行うことについての工夫がなされるよう配慮すること。
さらに、生徒の個性に応じ選抜方法を多様化させるという観点から、各学校・学科等ごとに、あるいは定員の一部ごとに、学力検査を実施しない選抜、調査書の比重を大幅に軽減する選抜や調査書を用いない選抜などを行うことも考えられること。
イ ただし、調査書を用いない選抜を実施する場合には、中学校教育に大きな影響を与えることから、例えばこの方式は例外的な方式であるとの位置付けのもとに定員の一部についてのみ適用する方法などが考えられること。また、学力検査の成績を主たる資料としっつ、面接や小論文・実技検査などを組み合わせて行うことも考えられること。
(4) 学力検査の在り方について
ア 学力検査の問題作成については、中学校の教育課程の趣旨に即し、知識の量や程度を問う出題に偏ることなく、例えば論述式の回答を求める出題や思考力・分析力を問う出題を増やすなど、中学校の新しい教育課程で重視されるべき能力が適切に反映されるよう一層の工夫改善を図ること。
イ 学力検査の実施教科については、生徒の個性に応じた学校選択や各学校・学科等の特色に応じた選抜を可能とし、さらに、中学校における選択履修の幅の拡大の趣旨を生かすため、各学校・学科等ごとに工夫を行うことが望ましいこと。
このため、例えば、各学校・学科等ごとに、あるいは定員の一部ごとに、実施教科数を増減したり、教科によって配点の比重を変えたり、学校ごとに学力検査問題を一部作成Lて付加したり、教育委員会が多くの問題を作成し各学校がそこから選択して出題したり、生徒が教科を選択したりすることなどが考えられること。
(5) 調査書の在り方について
ア 調査書については、高等学校入学者選抜の資料としての客観性・公平性を確保するよう留意しつつ、生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所を積極的に評価し、これを活用していくこと。
イ 調査書の学習成績の記録の評定については、中学校学習指導要領及び中学校生徒指導要録の改定の趣旨に即した改善の努力を進めること。
また、中学校の新しい教育課程における選択履修の幅の拡大の趣旨を生かすため、調査書の記載に当たり適切な工夫を行うとともに、選択教科の学習の成果の活用について工夫するよう配慮すること。
ウ 調査書の学習成績の記録の活用については、生徒の個性に応じた学校選択や各学校・学科等の特色に応じた選抜を可能とし、さらに、中学校における選択履修の幅の拡大の趣旨を生かすため、各学校・学科等ごとに工夫を行うことが望ましいこと。
このため、例えば、各学校・学科等ごとに、あるいは定員の一部ごとに、合否判定の資料として用いる教科を減らしたり、教科によって評定の比重を変えたり、選択教科を重視して用いたりすることなどが考えられること。
エ 生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所などを積極的に評価するため、調査書の学習成績の記録以外の記録を充実し、活用するよう十分配慮すること。
その際、点数化が困難なスポーツ活動、文化活動、社会活動、ポランティア活動などについても適切に評価されるようにしていくことが望ましいこと。
オ 調査書の記載事項については、高等学校入学者選抜の資料として、真に必要な事項に精選すること。
(6) 面接について
面接については、積極的に活用することが望ましいこと。
(7) 通学区域について
通学区域については、各都道府県で地域の実情を踏まえながら各高等学校に特色を持たせ、生徒の特性に応じた学校選択が可能となるような方向で検討する必要があること。また、生徒の居住地によって高等学校受験の機会が大きく異なることのないよう配慮する必要があること。
2以下略
主な問題点を挙げると、
30%推薦制の実施
- 県教委の入試実施要綱発表 各高校ごとの推薦基準も同時に発表
- 高校長が、募集定員の30%の人数を各中学校に「前年度の実績に応じて」割り当てる。
- 中学校における推薦作業実施
(イ)生徒・保護者から希望をとる
(ロ)校内の推薦制と決定
- 中学校長より各高校へ推薦生徒名簿提出
- 入学試験・面接・合否決定
- 合格発表
主な問題点
入試制度の概要
- 推薦入試
すべての高等学校・学科において実施される。推薦基準には、人物推薦(運動、芸術、奉仕活動等)、恵まれない環境推薦、学力推薦の三つがある。推薦による定員枠は各学科によって異なるが、それぞれ募集定員の15〜35%程度となっている。
- 一般入試
- 出願……学区は、普通科は尾張・三河の2学区。普通科2校へ出願する場合は(1校受験も可)、まず学区内の1群か2群かを選択する。さらにその群内のA・B各グループから1校ずつ選択し、第1希望校・第2希望校の区別を決定する。専門学科は全県1学区でそれぞれの学科内をA・Bグループに分けている。普通科と同じくA・Bグループから1校ずつ選択するが、どちらか1方を普通科の学校にしてもよい。
- 入学検査……学力検査と面接をA・Bグループ別日程でおこなう。
- 合否決定……各高校で全受験者について校内順位を決定する。この順位のデータは県教委に集められ、全校一斉にコンピュータで処理される。第1・第2志望ともに合格の場合には、第1志望校が合格となり、第2志望校の合格候補者からはずれる。その第2志望校では、受験者の中から次の順位の者を繰り上げて合格候補者とする。この作業を繰り返して各高校で合格者が決定して行く。受験は2回だが、発表は1回、同時に行う。
- 第2選抜…合格者が募集人員に満たない学校・学科においては、第2次選抜を行う。
1994年6月16日発行
比類なき最悪、最低の『改善案』県教委『公立高等学校入学者選抜制度の改善案について(中間報告)』批判
1.確実におこる『推薦競争』
2.確実におこる『公立離れ』
3.確実におこる『進学率の低下』
4.確実におこる『不本意入学の増加』
5.確実におこる『学校間格差の拡大』
6.確実におこる『中・高教育の破壊』
今回の『中間報告』が実行にうつされた場合、神奈川の中等教育がたどる運命は明らかです。私学と公立間の競争、公立高校間の競争は今とは比較にならないほど煽られ、受験生と中学校はその競争の中に投げ込まれます。受験生に安心感を与えることができない公立高校はみはなされます。そして、入学してくる生徒の多くは傷つき、不本意入学の思いにとらわれています。しかも、公立高校間の格差は今以上に拡大し、教育現場は荒廃します。普通の知識、想像力があればだれもがこうした不安を感ずるはずです。県教委は不安を感じていないのでしょうか。それとも不安を感じていても、この案を押し通そうとするのでしょうか。 また、今回の『改善案』の中に盛り込まれている、推薦制度、調査書の評定以外の記載事項の利用、複数受験機会、傾斜配点、受験科目の弾力化等はすでに全国各地でおこなわれ、多くの問題点が指摘されてきたものです。しかし、これらの項目を全部一度に導入しようとした県はありません。しかも、今回の『改善案』を一見するだけで、整合性を欠く部分、実施可能性を疑わせる部分を随所にわたり指摘することができます。全国各地の実践に学ぶこともなく、しかも不完全な内容のこの『改善案』は、他県に例をみない『比類なき、最悪、最低の改善案』と言わざる得ません。 |
1994年6月23日発行
高校入試『改善』案を考える――――熾烈な受験競争へ通ずる危険な道――――
今回、県教委がしめした『公立高等学校入学者選抜制度の改善案について(中間報告)』は様々な問題を含んでいます。もし、この案がこのまま実施されたとするならば、神奈川県の中学生は、いまよりもさらに厳しい受験競争を強いられることになり、多くの生徒が心に深い傷を負うことになるでしょう。この予想が杞憂であればよいのですが、この『改善案』を読めば読むほど、心配はつのってきます。そこで、この『改善案』の中心になるとも言える、『複数希望制』と『推薦制』、そして『特色ある学校づくり』について、限られた時間の中での不十分な検討ですが、以下のように問題点をまとめてみました。 I.『複数希望制』について
『複数の学校に希望が出せる』と言われると、多くの受験生は目を輝かすでしょう。また、受験生を抱える保護者の多くもホッと安心するかもしれません。しかし、よく考えてください。ひとりの受験生が複数の希望を出せば、見かけの倍率は必ず上がります。それによる不安が広がるでしょう。もちろん『見かけ上あがっても、全体の倍率は変わらない』と説明されれば、なるほどと、再び納得するかもしれません。だが、もう少しよく現実を見てみましょう。 1.入選の各段階の倍率は高くなる
『中間報告』によると定員の20%が第二希望枠とされます。受験生は第一希望出願と同時に第二希望を提出することができます。ところで、定貝の10%程度が推薦枠とされますから第一希望の枠は、100−20−l0→70% となります。単純に現在の公立高校の平均倍率1.1そのままで考えると。その中の0.1が推薦で決まります。すべての受験生が推薦を受けるわけではありませんが、わずか10%の枠を争うのですから、当然高い倍率になるでしょう。そして残り1.0が70%の第一希望枠を争います。したがって第一希望の倍率は約1.4になります。そして第二希望は残り0.3の受験生が20%の枠を争います。したがって第二希望の枠は1.5倍となります。平均的に考えても、第一希望の倍率、第二希望の倍率はともに現在の1.1倍よりもはるかに高い倍率になってしまいます。倍率が高くなればなるほど、ちょっとした失敗が不合格につながることも起こります。これで安心でしょうか。 2.第二希望の倍率は不明
受験生の立場になってもっと検討してみましょう。第一希望はたしかに倍率が発表されます、あるいはできます。しかし、第二希望の倍率は発表できるでしょうか。第二希望は第一希望で不合格になった受験生だけが、選考の対象となります。だから、いったいどの受験生が実際に第二希望にまわってくるかは、第一希望の選考が終了するまでは分かりません。ですから、もし発表したとしても、実際には意味のない数字となってしまいます。それでも無理に第二希望を発表したとすれば、おそらくその倍率は平均5倍以上の高倍率になるでしょう。いたずらに受験生の不安をあおるだけです。では受験生は何をたよりに第二希望を出願したらよいのでしょうか。ほとんど賭に近いものになってしまいます。こんな第二希望が受験生に安心を与えるものになるのでしょうか。 3.不本意入学の多発
そして、また別の大きな問題は、第一希望でその学校を受験していた生徒を、第二希望で回ってきた受験生がはじき出してしまうという問題です。A高校を第一希望にしていたある受験生が、第二希望はB高校に出したとします。そして、その受験生がA高校は不合格でB高校に合格したとします。そうすると、その生徒が回ってきたために、B高校に是非入りたくて、第二希望もB高校を受験していたある生徒が第一希望ばかりか、第二希望まで不合格になるというようなことがおきます。それを避けようとすれば、第二希望は不本意ながらあらかじめC高校にするということも必要になります。いわゆるトップ校以外の学校ではこの現象が必ず発生するでしょう。こうして次々に不本意志願の鎖ができあがります。 II.『推薦制』について
『推薦を受けて早く合格が決まればいいなあ』。こう思うのは、ごく自然な感情でしょう。今回の『中間報告』では各高校は、その『特色』に応じて推薦制度をとりいれることができます。そして推薦においては、かならずしも学力だけではなく、様々な個性が評価されるとも伝えられています。しかし、そううまくいくでしょうか。 III.『特色ある高校づくり』について 『特色ある高校』がつくられ、そして受験生が自分の個性にあわせてさまざまな『特色』をもった高校を受験することができれば・・・。こう願うのは自然かもしれません。しかし、よく考えてください。 ―――『改善案』そのものの抱える疑問点―――1.複数希望制が抱える矛盾 第2希望提出に関わる問題
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そもそも、複数希望制は統一試験方式、統一管理方式をとってはじめて可能なものである。各校単独入試方式をとる限り、第2希望方式は数々の矛盾に出会うであろう。そして、第2希望の不透明さ、第1希望枠の縮小により、受験生の公立離れは確実になるであろう。また、受験生を長期間不安定なままに放置することは、受験生の人権上も大きな問題を残すであろう。
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2.入選作業に関わる問題(モデル 8 クラス 320 定員校 総希望数 352 倍率1.1倍)
※ここまでで学力検査から4日 |
※ここまでで学力検査から9日 |
※ここまでで学力検査から15日 |
※ここまでで学力検査から17日 |
入選作業の見通し
出願開始から発表まで1ヵ月以上は必要、しかもほとんど1日も欠かさずに入選日程を入れることになる。この時期には3年生の学年末試験、卒業判定会議、卒業式予行等の行事の多い時期である。これらの行事を含めると、1か月では済まず、現在よりも合格発表を後ろにずらすことになるであろう。(卒業判定会議、卒業式予行、職員会議2回さらに卒業式、各1日は必要)
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『具体的取り組み計画』
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1994年8月31日発行
「特色ある高校づくり」を拡大、推進するための「入試改革(大綱)」
1994年7月18日、県教委は、「神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改正大綱」(以下「大綱」と略す)を発表した。5月19日の「中間報告」と比べると、専門コース以外の普通科への推薦制については「今後検討」とされ、また、選考IIにあった同科への傾斜配点・使用教科数の弾力化などについては撤回されたが、最も批判の集中した複数希望制については、そのまま盛り込まれている。そして、「特色づくり」についてはさらに踏み込んだ形で提起され、「特色ある高校づくり」を拡大、推進するために「特色ある入試」で押し進めようとする入試制度の「多様化・多元化」の最大のねらいが、より一層色濃く現れている。ここでは、大綱にある「高等学校の特色づくりについて」を中心に検討し、「特色づくり」の持つ問題点を述べてみたい。
[1]学校教育法41条と「特色づくり」は相反し、矛盾する理念!
大綱は「特色ある高校づくりの基本的な考え」の中で、学校教育法41条「中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。」を引き出し、その後で「特色づくり」を奨励している。学校教育法41条の高等学校の目的は、「高等普通教育」と「専門教育」を分断してきた旧制の中等学校を反省・否定し、この両者を施すという二重の目的を持つことに特徴があり、その達成を総合制高校に期待した。この両者が「及ぴ」で結び付けられていることには、このような、新制高校発足時の理念がある。
[2]入試改革をテコに、すべての公立高校に「特色」を押し付ける!
大綱は、入学者選抜にあたっては、「専門学科や専門コースについては……その専門性に応じて……、その他の高等学校にあっては、特色ある教科活動に基づく基準により、調査書や学力検査の結果とともに、入学を希望する生徒の能力・適性、興味・関心等を考慮した選考が行われることが望ましい。」としている。入試選抜制度と直接的に結び付く「特色」は、「特色ある教科活動に基づく」ものとし、その具体的内容として、「(1)専門学科、(2)専門コース、(3)総合学科、(4)類型の設置、(5)選択幅の拡大、(6)学校間連携」を例示している。
[3]「特色」は自由に出せない!
さらに、各高等学校のそれぞれの「特色」を、「他の高等学校とは異なる学校独自のものとして」設定するよう述べている。これは、もし各校が検討して「特色」を決め、県教委に届けても、他校との関係から認められないことがあるということである。あげくの果てに「お宅の高校は〇〇を特色にするは無理でしょう」とか、「お宅の高校の特色は〇○などが妥当でしょう」などと、教育課程の編正に県教委が介入してくることになるであろう。過去においても、「個性化推進事業」(1977〜1986)における個性化推進校の「個性」は、同―学区内に同じものがある場合は認められなかった。この「特色」も同じような手段で「推進」されていくことになるではないだろうか。
[4]「特色づくり」は学校間格差を拡大させる!
大綱は、各学校ごとの特色に合わせた選考を求めているが、評価尺度を「多様化」することで、同一の尺度で高校どうしを比較しにくくさせ、学校間格差の実態を「個性」とか「特色」という言葉にスリカエ、覆い隠そうとすることも入試制度の「多様化・多元化」のねらいである。
[5]「特色づくり」は不本意入学者の問題を一層深刻化させる!
今回の入試改革は、複数希望制により第1希望を入学定員の80%に押さえるなど、入りたい学校に入学しにくくさせている以上、現在よりも増して不本意入学者が増大するではないだろうか。
[6]「特色づくり」は能力主義に基づく早期選別をねらう!
たとえ、中学生が自分にあった高校に入学したとしても、高校入学後に、興味・関心が変化することが充分有り得るであろう。興味・関心の変化は、成長過程の中で保障され、尊重されなければならない。
[7]「特色づくり」は、学校間競争を巻き起こし、"安上がり"教育を促す!
大綱は、この入試改革によって、すべての公立高校に「特色」を持たせようとしているが、「特色」を持たされた各学校の将来はどの様になっていくのだろうか。たとえば、ある学校が、教育課程の編成に工夫をし、「実践例」にある「選択幅の拡大」を特色として「3年次にすべての教科で、選択科目を計60講座開設」した場合はどうなるだろうか。初年度は、ある程度の人的・物的な条件整備が県教委から支援されたとしても、数年後には、財政難を理由にその支援が低下し、選択科目は十分に開設できなくなるということが、起きてくるのではないだろうか。(現在ある専門コースを持つ学校でも年々条件整備が低下し、校内でのやりくりに苦労している状況が少なくない。"専門コースを返上したい"と言う声さえ聞かれている。)
このとき、初年度に示した「特色」は、もはや中学生を引きつけるだけの魅力を失ってしまうであろう。しかし、このような「特色」の衰弱化を放置することによって定員割れ(不人気高校と呼ばれること)や偏差値輪切りのランクダウンを恐れる学校現場では、この「特色」を維持しようと、懸命な内部努力(授業時間数の増加や専門外の教科担当などの過酷な勤務)に追い込まれるのではないだろうか。 |
1994年8月31日発行
あらたな『適格者主義』へ―入選大綱批判への視点―
神奈川県教育委員会は昨年末に出された高課研二次答申を受けて、この5月に『中間報告』を発表しました。その内容はすでに知られているとおり、複数希望制の導入はじめ、すべての学科にわたる推薦制、傾斜配点、受験教科数の弾力化導入等、さまざまな問題を含むものでした。その後、『中間報告』に対する県内各方面からの疑問と批判が強まり、県教育委員会も多くの部分について見直しをせざるを得なくなりました。そのため『本報告』つまり『大綱』は『中間報告』に比べるならば、多少とも改善されたものになったと言えるかもしれません。しかし、複数希望制をはじめとして、『中間報告』において問題とされた多くの制度が、『大綱』の中にも残りつづけています。今後も一層の改善に向けた、強力な取り組みが求められています。今後の運動展開の一助にするため、以下において、『大綱』を批判する上でのいくつかの視点を整理してみます。
1.『適格者主義』
2.『学校の個性』か『生徒の個性』か
3.多段階選抜
4.推薦制
5.選抜方法の多様化
むすび ―公立高校の役割― |
1994年9月6日発行
高校入試制度はどう変わる―「神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改正大綱」の概要―
1.はじめに神奈川の高校入試が変わります。県教育委員会は,去る7月18日に現在の中学1年生が高校学験する97年度から本格実施される,「神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改正大綱」(以下,「大綱」と略す)を発表しました。これによって,これまで「神奈川方式」と呼ばれていた入試制度が大きく変わり,「推薦」,「複数志願制」,「多段階選抜」が導入されることとなりました。今回の「大綱」が示されるまでの過程には,県教育委員会の諮問機関であった高課研の「報告」と,その報告を受けて県教委が策定していた「入試選抜制度の改善案」の「中間報告」がありました。わたしたちは,高課研の「報告」,そして県教委の「中間報告」が出された段階で,「入試選抜制度の改善案」が「学校間格差」を解消・是正するどころか,むしろ一層激化させることになるなどの問題点を指摘してきました。 今回示された「大綱」は,新しい入選制度の大枠を示したものです。「中間報告」での矛盾雷点や、中学教育や高校教育を破壊しかねない問題点は基本的に残り続けています。 「中間報告」と「大綱」の比較
2.「大綱」の概要
<推薦制>
<複数志願制>
<学力検査>
3.選考資料と選考方法
<選抜資料>
<選考方法>
基本的な選考方法は,普通科の第1希望の70%の選考以外は,調査書の評定以外の記載事項をも活用した,総合的な選考ということになります。そして,選考方法については予め公表するとされています。
<志願変更>
4.移行措置
5.「中間報告」後のわたしたちの対応
高総検としても,高課研の報告や県教委の「中間報告」が出された段階からそれらの報告内容を分析し,職場討議資料(94-07,94-12)や高総検レポート(No16,No17)としてまとめました。神高教本部は,これら高総検の分析結果をも含めて6月27日付けで教育長(木下正雄氏)に対し申し入れを行っています。 各分会にあっても,県教委の「中間報告」に対する抗議のための職場集会が持たれ,職場決議を挙げるとともに,校長に対しても県教委案に反対する職場の意志を校長として意見具申するように交渉を持ちました。 6月24日付けの神奈川新聞で報じられた通り,県教委の作成した「中間報告」が,高課研の報告を逸脱するものであることを,高課研委員でもあった前神高教副委員長の中野渡氏が,同じく高課研委員であった横浜市立高等学校教職員組合(浜高教)委員長の飯田洋氏と共に県教委に対し申し入れを行いました。 こうした様々な運動を経て,今回の「大綱」が出されました。しかし県教委は,重要な事柄を先送りしているだけです。今後の運動が一層重要になっています。 |
―第2次報告―平成5年12月神奈川県高等学校教育課題研究協議会1 研究協議の経過
2 入学者選抜をめぐる現状と課題 (1)高等学校教育について
(2)公立高等学校の入学者選抜について
(3)中学校の進路指導について
3 公立高等学校入学者選抜制度改善の検討の視点 入学者選抜制度の改善に当たっては、入学者選抜をめぐる現状や課題、及び、現行制度に対する賛否両論などさまざまな県民の意見や提案等を踏まえるとともに、入学者選抜が中等教育における中学校と高等学校の橋渡しの役割をもっていることを認識し、両者の正常な教育の推進、展開の中で、生徒一人ひとりが、互いの違いを認めあいながら共に生き、人間らしく個性的、主体的に成長していくことを求めた「ふれあい教育」の理念が生かされるよう配慮し、生徒が意欲や希望をもって取り組むことができるように、次のような視点をもって改善の検討をする。 (1)入学者選抜は、中学校作成の調査書と選抜のための学力検査の成績を基本の資料として行い、現行の学習の記録、学習検査、学力検査の3つの資料の扱い等を見直すことが必要である。 その際、生徒の学習負担が過重になることのないよう配慮しながら、調査書における学習の記録以外の記録を生かしたり、調査書及び学力検査の特定の教科を重視したりするなど、その内容については多様な取扱いを可能にし、生徒の優れた点に着目して、それを積極的にみることができるようにする必要がある。 (2)入学者選抜の方法については、多様な生活に対応した特色ある高等学校づくりや、職業科の学科改編などに応じて、特色ある学校・学科・専門コース等においては、その特色にふさわしい多様で弾力的な選抜方法を考えることにより、生徒一人ひとりが、自分の個性を生かした高等学校選択ができるようにし、また、中学校で培った能力、適正・興味・関心等を入学者選抜に反映させ、生かすことができる必要がある。 (3)特例校措置を解消するとともに、今後、生徒の個性、価値観の多様化などに対応した、高等学校の特色づくりや選抜制度とも関連して、学区外志願及び志願変更の制限等を弾力的に扱い、生徒の希望を生かした高等学校選択ができるようにする必要がある。 4 公立高等学校入学者選抜制度の改善策 (1)選抜資料の見直しについて ア 調査書について 中学校における平素の学習状況や特別活動等の記録を示す調査書は、知的学力偏重に陥ることのないように、また、生徒の能力、適性、興味。関心等を多面的にとらえ、生徒個人の優れている点や長所を積極的にみることができるように、現行の「特記事項欄」の趣旨を生かすとともに、中学校の指導要録改訂に対応した「観点別学習状況」の取扱いなどについて検討する必要がある。 また、中学校生活における3年間の活動の状況や向上が総合的に評価されるよう工夫する必要がある。 そのうえで、中学校第3学年が、第1学年及び第2学年の学習活動等の継続的累積の上に立った義務教育の最終段階であることや、生徒の心身の発達ならびにそれに伴う変化なども極めて顕著にみられることなどを勘案して、中学校第3学年における資料を十分重視できるよう工夫する必要がある。 イ 学習検査について 学習検査は、同一問題を県下一斉に行うことにより、その段階における生徒の学習到達度を客観的に評価し、生徒及び教師のその後の学習や指導の改善に生かすという趣旨のもとに、昭和25年以来の長い歴史の中で確立された妥当性・信頼性のある標準検査であり、学習検査後の生徒の学力伸長を図る上で有効かつ適切な手だてとなってきた。 一方、いわゆる「神奈川方式」における学習検査は、その結果を数値化して選抜資料の一つとしてきたことが、中学校における進路指導の際の重要な決め手となっているという指摘がある。 また、第3学年段階における生徒の興味・関心の持ち方や、学習検査の結果を生かした第3学年での学力伸長を考えあわせたとき、第2学年で実施する学習検査を選抜資料として位置づけることにはさまざまな意見もあり、さらに保護者の転勤等に伴って本県の高等学校を受験しようとする他県出身者にとってはなじみがなく、公平性という点からも問題があるという声も多い。 そこで、学習検査の結果については、選抜資料としての扱いはせず、日常の生徒の学習や教師の指導方法の改善に生かす材料としての活用を図ることが望ましい。 ウ 学力検査について 選抜のための学力検査は、生徒の学習負担に配慮するとともに、中学校教育への影響を考慮したとき、現行の国語、社会、数学、理科及び英語の5教科を基本とし、その出題に当たっては、基礎的・基本的事項に関する問題を通して総合的に測定できるように、さらに工夫改善に努めることが必要である。 しかし、現行のように、普通科・専門学科等、いずれの高等学校においても一律5教科、同一問題で同一配点といった学力検査の方法は、能力、適性、興味・関心等がきわめて多様化している生徒の実態に対応できる方法とは言いがたいという指摘もあり、特色ある学校・学科・専門コース等においては、その特色に応じた多様で弾力的な扱いができるようにすることが望ましい。 エ 選抜資料の比率について 調査書作成委員会を設置し、公正な調査書の作成に務め、その信頼度を一層高めるように努力している中学校で作成する調査書は、正常な中学校教育を反映しているものであるから、選抜資料として重視すべきであるという考え方のもとに、現行では選抜資料に占める学習検査の比率20%を含めて、調査書の比率が選抜資料全体の70%を占めている。 しかし、生徒の個性を生かす選抜という視点に立って考えたとき、選抜資料に占める比率が現行のように、学力検査(30%の比率)よりも調査書(70%の比率)に傾き過ぎていると、生徒が興味・関心をもつ教科や得意な教科を生かして特色ある学校・学科・専門コース等に挑戦してみようとしても、実質的に学力検査において得意教科が生きず、たとえ、学力検査の特定教科に対する傾斜配点等をしても、選抜資料全体の中では大きな意味をもってはこない。 また、高等学校入学後の学習への継続性という点から考えたとき、中学校で培った成果を反映するものは、高等学校入学直前の学力検査であり、その意味から現行の学力検査の比率は小さすぎるという指摘もある。 そこで、前述したように、今後学習検査の結果を選抜資料としての扱いはしないという考え方とあわせて、調査書と学力検査の比率については、検討の視点の趣旨を踏まえながら、両者の均衡がとれるようにすることが望ましい。 なお、このことによって、中学校の進路指導に対する生徒や保護者の信頼感が失われることのないよう、中学校においては、個々の生徒の能力、適性、興味、関心等を日常的教育活動に基づいて的確に把握するよう、進路指導体制のなお一層の確立と、充実を図っていくことが重要である。 (2)学校・学科・専門コース等の特色に応じた多様で弾力的な選抜方法について ア 推薦入学について (ア)推薦入学については、これまで農業、水産、工業、厚生等の学科で実施されてきたが、各高等学校の特色にふさわしい能力、適性、興味・関心等を有する生徒の持ち味を生かすための方法として有効であり、他の特色ある学校・学科・専門コース等においても、推薦入学を実施できるようにすることが望ましい。 なお、普通科の一般コースへの推薦入学の導入については、今後の社会情勢の動向等も見極めながら、なお検討することが必要である。 (イ)推薦入学の定員については、特色ある学校・学科・専門コース等の特色に応じた能力、適性、興味、関心等をもった生徒を積極的に受け容れられるよう、拡大することが望ましい。 (ウ)推薦の実施時期については、推薦で合格しなかった生徒が、気持ちを新たに一般試験に臨める時間的余裕を与えるという教育的配慮から、現行より早めて行うことが望ましい。 イ 受験機会の複数化等について 入学者選抜に当たっては、生徒に対してできる限り不安や動揺を与えないよう配慮するとともに、高等学校選択の幅を広げ、希望する高等学校に挑戦できる機会を与えるために、例えば、挑戦に失敗した生徒に再度の機会を与える受験機会の複数化や、受験生の希望により第2希望校を認めるといった志願のあり方、あるいは再募集のあり方などについて積極的に検討する必要がある。 ウ 学力検査等の扱いについて (ア)学力検査の弾力的扱いについて 特色のある学校・学科・専門コース等においては、その特色に応じて学力検査の実施教科数を弾力的に扱えるようにするとともに、特色に応じた特定の教科に対する傾斜配点などができるようにすることが望ましい。 また、定時制の課程においては、限られた時間の中で受験する生徒が、ゆとりある検査を受けられるよう、実施教科数を減ずることが望ましい。 さらに、生涯学習時代といわれる今日、定時制の課程への社会人の受験に対応するため、作文の実施によって学力検査に代えられるようにすることが望ましい。 (イ)実技検査の導入について 特色ある学校・学科・専門コース等においては、その特色に応じて、基礎的・基本的内容に関する実技検査を実施できるようにすることが望ましい。 (ウ)面接の導入について 面接については、生徒の能力、適性、興味、関心や目的意識、学習意欲を高等学校側が直接に把握することができるとともに、生徒にとっても当該高等学校に進学する意識について自覚を深める機会になるということから、特色ある学校・学科・専門コース等においては、必要に応じて実施できるようにすることが望ましい。 (エ)学力検査の弾力的扱い、実技検査、面接等の組合せについて 特色ある学校・学科・専門コース等においては、その特色に応じて、学力検査の弾力的扱い、実技検査、面接等を適宜組み合わせた選抜方法を工夫することが望ましいが、その際、生徒の学習負担をいたずらに増大させないよう十分配慮する必要がある。 エ 選考方法について 選考方法については、これまで、一定の方式によって合格者を決定する第1次選考、各高等学校が各種の資料を活用して総合的に判定して合格者を決定する第2次選考という2段階の選考方法をとってさた。このうち第2次選考については、今後、その比率等を見直し、それぞれの高等学校の特色が生かせるような各高等学校独自の判定方法をあらかじめ公にして実施することが望ましい。 (3)関連する諸課題について ア 学区外志願の取扱いについて 現在の学区は、平成2年度から実施されてきているが、学区ごとの中学校卒業者数や高等学校の設置状況が不均衡であるため、各学区の中学校卒業者数に対する入学定員の割合は全ての学区の均衡がとれるわけではない。この不均衡を是正し、受験機会や教育条件の公平性を数の上で保証するために、年度ごとに隣接学区の特定の高等学校(特例校)を指定し、一定数の学区外入学を認めるという定員策定上の方策を講じてきた。しかし、この方策は、特例校が年度ごとに指定されたり、されなかったりするという不安定な要素をもつ臨時的措置のため、高等学校を選ぶ生徒の立場に立ったとき、自分で選ぶことが制限されるという不満があり、漸次解消することが望ましいとされてきた。 また、各地域の歴史的・文化的な結びつきや生活圏を踏まえるとともに、年々の交通機関や交通網等の整備状況から隣接学区の高等学校への通学が便利である生徒もいるという現実から、隣接学区の扱いについても考慮する必要がある。 そこで、神奈川県高等学校入学者選抜制度検討協議会の報告を踏まえながら、学区外志願の枠の扱い等について検討し、臨時的に行ってきた特例校措置を解消することが望ましい。 イ 志願変更について 現在、全日制の専門学科においては、同一の大学科内における学校や小学科の志願変更のみが可能であるが、厚生や外国語に関する学科はそれぞれ1学校、1小学科で、実質上志願変更の余地がない。また多様な生徒の実態に即していないのではないかとの指摘もあり、あわせて神奈川県産業教育審議会からの報告も踏まえ、今後は、専門学科と他の専門学科との間において、あるいは専門学科と普通科との間において志望変更ができるようにすることが望ましい。 また、専門コースも含めて全日制普通科にあっては、学区外からの志願者の志願変更はできないことになっているが、高等学校選択の幅を拡大するために、学区外からの志願者も志願変更ができるようにすることが望ましい。 なお、現在、専門学科にあっては、同一校の大学科間に限り、小学科について第2希望まで志願を認めているが、専門コースについても同一校の一般コースとの間で第2希望を認める志願ができるようにすることが望ましい。 おわりに 高等学校が国民的な教育機関としての役割を果たしている今日、高等学校教育のあり方については、県民・保護者の関心も高く、社会・経済・文化の進展に応じた時代的要請を受けて、これまでも各界からさまざまな意見や改革についての提言がなされ、それらを踏まえて高等学校教育に関わる改善・充実が図られてきている。今後も、生徒減少期における教育充実の方策など、社会情勢の変化に応じた高等学校教育に関する複雑で困難な多くの課題を解決していくための不断の努力を進めていくことが求められている。 本協議会において検討協議した「公立高等学校入学者選抜制度のあり方」についても、関係機関において、中学校教育への影響或いは今後の社会や高等学校教育の動向等に対応したより良い方向をさらに検討し、時代の変化に応じた改善を図ることが必要である。 また、今回の「報告」に基づく入学者選抜制度改善の具体化に当たっては、改善策の検討の中で、学習検査の取扱いをめぐって現行制度の変更を懸念する意見もあったことを踏まえ、生徒に動揺を与えることのないよう配慮しながら検討することが望ましい。 なお、現行の通学区域(学区)については、拡大・縮小等様々な意見があったが、平成2年度に県央学区・県北学区それぞれの学区の分割を行い、現在移行措置を実施している段階であるので、当面学区の変更はしないで、社会の動きや、現行の学区の定着状況、さらには新しい選抜方法の実施に伴う状況変化など、関連する様々な動きを見定めていくこととした。 |
1994.5.27 県教委「高校入試改革改善案(中間報告)」を発表不本意入学増大!?ア・テスト廃止・推薦制の拡大・複数志願制――高校の特色づくりを強化――県教育委員会は去る5月19日,高課研報告(第1次 93年4月,第2次 93年12月)をうけ検討している状況を「公立高等学校入学者選抜制度の改善案(中間報告)」として発表しました。 この内容は別記の通りですが,更に検討し,7月には大綱をまとめるとしています。 私たち神高教は,これまで95%以上高校進学状況を考えれば,希望者全入・学校間格差是正と,入ってからの大幅な選択制の導入などで高校改革をすすめるベきだとして運動してきましたが,その方向とは全く異なる「改善案」といえます。 今後,この中間報告の批判行動をすすめるとともに,見直しをせまる運動をすすめていきます。 I 公立高等学校入学者選抜制度の具体的改善案<<全日制の課程>>
1 学力検査等に基づく選抜 希望する高等学校が受験できるよう,学校選択の幅を広げるため,生徒の希望により第2希望校を志願できるものとする。
2 推薦に基づく選抜 (1)推薦入学の実施校
毎年1月に実施する。
1 学力検査等に基づく選抜 調査書,学力検査及び必要に応じて実技検査,面接の結果を資料とする。 2 推薦に基づく選抜 調査書、推薦書及び面接の結果を資料とする。 ※調査書について 調査書の記載内容は,次のとおりとする。
1 学カ検査 学力検査の実施教科数は,次のとおりとする。
専門コース・専門学科については,学力検査の実施教科数し弾力的扱いにあわせ,その学校の特色に応じて各学校で実施できるものとする。
1 第1希望の選考方法 (1)普通科一般コース 普通科一般コースは,次の選考I及び選考IIの方法により,順次合格者を決定する。 ア 選考I 調査書の評定と学力検査により選考する。
調査書の評定と学力検査及び調査書の評定以外の記載事項により選考する。
専門コース・専門学科は,上記選考IIの方法により選考する。なお,実施教科数の弾力化に伴い実施する実技検査,面接も選考と資料とする。 2 第2希望の選考方法 (1)普通科一般コース 調査書の評定と学力検査及び調査書の評定以外の記載事項により選考する。
第1希望の専門コース・専門学科の選考方法と同じ方法により選考する。 参考資料 選考方法の新旧対比
1 再募集について 現行どおり実施する。 2 志願変更について 学区内外を問わず,いずれの学校・学科・コースヘも志願変更できるものとする。 3 学区外志願の扱いについて 学区外志願限度枠の中に,隣接学区枠の扱いを新たに設ける。 《定時制の課程》 1 選抜方式について 現行どおり全県を学区として,1校を受験する方式とする。 2 選抜の資料について 全日制の課程に準ずるものとする。 3 学力換査等の扱いについて (1)5教科(国語,社会,数学,理科,外国語(英語))のうち,3教科から5教科の範囲で各学校が選択できるものとする。 (2)社会人については,作文の実施により学力検査に代えることができるものとする。 (3)実技検査については,必要に応じて実施できるものとする。 (4)面接については,現行どおり実施する。 4 選考の方法について 普通科・専門学科ともに,全日制の課程の専門コース・専門学科に準ずるものとする。 5 再募集及ぴ志願変更について 全日制の課程に準ずるものとする。
今回の改善は,平成9年度(現中学校第1学年)の入学者選抜から実施することとし,平成7年度(現第3学年)・平成8年度(現第2学年)については,次のとおり移行措置及び一部の改善を実施する。 1 平成7年度《現中学校第3学年》入学者選抜 平成7年度の入学者選抜については,現行の方法により実施するが,次の2点について改善を行う。 (参考:学習の記録,学習検査,学力検査の比率は5:2:3)
2 平成8年度《現中学校第2学年》入学者選抜 平成8年度の入学者選抜については,平成7年度の入学者選抜に加え,次の移行措置及び改善を行う。
II 中学校の進路指導進路指導は,生徒一人ひとりが将来の生き方を考え,自らの持ち味,興味・関心等を生かした進路を模索し,実現できるよう手助けする教育活動であり,その一環としての望ましい進路選択,高等学校選択がされなければならない。そのため,次の視点に基づき,進路指導が行われる必要がある。 1 将来の生き万の多様性,多様な進路選択の可能性についての指導
III 特色ある高校づくり入学者選抜制度の改善とともに,全ての学校で特色ある高校づくりを推進する。 1 特色ある高校づくりの推進
平成6年度………各学校の『特色ある高校づくりプラン(特色プラン)』(仮称)計画策定 平成7年度………「特色プラン」に基づく実施計画の作成,学校のPR 平成8年度………「特色プラン」の実施
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1994.8.31
(年号は原文のまま) 《神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改正大綱の制定にあたって》本県における公立高等学校入学者の選抜制度は,戦後,幾多の変遷を重ねながら,学習の記録,学習検査及び学力検査を資料とし,いわゆる神奈川方式として行われてきました。この間,我が国は著しい経済発展を成し遂げ,しかも高学歴化が進み,学歴偏重の社会とも言われてきました。 こうした時代背景の中で,本県においては,人口急増の時代を迎え,さまざまな対策が必要となってまいりました。 とりわけ高等学校への進学希望者が急増し,その対策が急務となってまいりました。このため,最重要施策として取り組んできたのが,「県立高校100校新設計画」であり,この計画は昭和62年度に完了いたしました。 高校100校新設計画の進捗とともに,高校進学率も90%を越え,中学校卒業者の大部分が,高校へ進学する時代を迎え,本県の入学者選抜制度は県民からも評価され,その役割を果たしてまいりました。 しかしながら,高校進学者の増加とともに,昭和50年代半ばには,校内暴力や家庭内暴力,中途退学の増加など教育に関連するさまざまな問題も顕在化し,中学校や高等学校における教育のあり方が改めて問われるようになってまいりました。 そのような状況の中で,子どもの持っている個性や能力,適性を大切にした教育,そして「やさしさ」,「おもいやり」といった心豊かな人間性を育てることをもっと大切にすベきではないかなど,県民の皆様による「騒然たる教育論議」が展開されてきました。 その結果,個性の伸長と共生・共育を目指す「ふれあい教育」という理念を生み,すベての教育活動の根幹に据えることにし,今日に至っております。 さらに,情報化,国際化,人口の成熟化等が進展する中で教育を取り巻く社会環境も著しく変化してまいりましたし,社会は多彩な人材を求めております。 すなわち,教育にあたっては,児童・生徒一人ひとりの個性や能力,適性を豊かに伸ばし,そして,社会の変化に柔軟に対応し,主体的に生活していくために必要な基礎的,基本的な知識・技能を身につけるよう指導していくことが要請されております。 こうしたことを背景にして,平成3年に神奈川県高等学校教育課題研究協議会(高課研)が設置され,約2年間の論議の結果,第1次報告では,「高校への進学機会の拡大」とともに「高校の特色づくり」,第2次報告では「入学者選抜制度のあり方」について,昨年報告されました。 本県では,これまでも「高等学校教育のあり方」や「入学者選抜制度の改善」などについて検討し,高校の特色づくりをはじめ必要な対策を講じてきましたが,社会環境が大きく変化し,教育の分野でもさまざまな課題がある中で,高校の特色づくりと入学者選抜制度の改善については,当面の取り組むべき最重要課題と認識し,先の高課研の報告を真摯に受けとめ,実施に移すことにしたものであります。 このため,本年1月,県教育庁内に「公立高校入学者選抜制度検討会議」を設置し,次の基本的な考え方に視点をおき,検討を重ねてきました。
新しい制度を生かしていくためには,次のことが大切であります。
こうした趣旨に基づいて,この改正大綱により,神奈川県公立高等学校入学者選抜を実施してまいります。 県民の皆様をはじめ,児童・生徒の教育に係わる教師及び保護者の方々には,この改正大綱の趣旨をご理解くださいますよう,そして,ご協力くださいますようお願い申しあげます。 平成6年7月18日 神奈川県教育委員会
<参考資料> 各年度の選考方法
<別紙資料1> 中学校における進路指導について(基本的方向) I 進路指導の基本的な考え方 1 中学校教育のあり方 中学校段階の生徒は,心身の成長・発達が著しく,自己の生き方,人間としての生き方,あり方についても関心が高まる時期にある。 学校教育法においても,「中学校は小学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,中等普通教育を施すことを目的とする」とされ,その目的を実現するための教育目標の一つとして,「社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能,勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと」と定められている。 高等学校教育の目標に「個性に応じて将来の進路を決定させ」とあることを考えると,中学校においては,生徒が自らの個性を生かし主体的に進路を選択できるような能力や態度を育てていくことが求められている。 2 中学校における進路指導のあり方 中学校における進路指導は,生徒一人ひとりが将来の生き方を考え,自らの個性を生かし,自らの希望にあった進路を主体的に選択できるような能力や態度を育成する教育活動であり,まさに,人間としての生き方の指導である中学校教育そのものである。 従来から,一部には,生徒自身の主体性をもっと尊重すべきであるとか,一人ひとりの個性をもっと重視すべきであるといった声も聞かれ,また,数値に重きをおいた指導のあり方の弊害なども指摘されてきた。 これからの進路指導においては,生徒一人ひとりの能力・適性,興味・関心や将来の進路希望等を重視した指導を行うとともに,それらが効果的に進められるよう,学校,家庭,地域が,従来にもまして,生徒の将来について生徒を中心に据えて考えていくことが必要である。 特に,直接,指導にあたる教師は,研修等により,一層力量を高めるとともに,生徒一人ひとりの能力・適性,興味・関心や将来の進路希望等の十分な把握,生徒の進路希望先の教育内容,仕事内容などの情報の収集について今まで以上に努力していくことが大切になる。その際,業者テストによる偏差値等に依存した進路指導を行わないことはいうまでもない。 各学校の進路指導の推進にあたっては,学校の教育目標に基づいた進路指導の目標を定め、全体計画や年間指導計画などを作成するとともに,教職員の共通理解を踏まえた協力体制の整備や進路相談の充実に努めることが必要である。また,教育課程を編成する際には,生徒一人ひとりが自己の個性を発見し,それを伸長することができるよう工夫することが必要である。 さらに,自ら学ぶ意欲や思考力,判断力,表現力などの資質や能力の育成を重視する新しい学力観に基づき,各教科等の目標に照らしてその実現の状況をみるとともに,生徒一人ひとりの可能性を積極的に見いだし,それを伸ばすように努めることが大切である。 II 今後の進路指導 今後の進路指導にあたっては,次の視点に基づき進路指導が行われる必要がある。 1 将来の生き方の多様性,多様な進路選択の可能性を理解させる指導 当面の進路としての進学や就職ではなく,将来社会人としてどのように生きていくかといった社会や職業とのかかわり方や,多様な進路とその選択の可能性についての理解を深めるよう援助・指導していくことが大切である。 ○ 体験的活動の充実に努める。 2 多様な視点に基づく進路指導の推進 これからの進路指導においては,数値のみに重きをおいた進路指導ではなく,生徒一人ひとりの個性や高等学校の特色など多様な視点に基づいた進路進導を推進していくことが大切である。 ○ 生徒一人ひとりの能力・適性,興味・関心や将来の進路希望等,多面的な把握に努める。 ○ 評価方法の工夫・改善に努める。 3 個を生かすための長期的な視野に立った個人資料の作成と活用 生徒一人ひとりが将来の生き方を考え,自らの個性を生かした進路を模索し,実現できるよう援助・指導していくために,生徒一人ひとりの能力・適性,興味・関心や将来の進路希望等について,3年間を通して資料を収集・保存・蓄積するとともに,長期的な視野に立って活用していくことが必要である。 ○ 進路指導カード等の作成・工夫と,その有効な活用を図る。 4 協力体制の整備と進路相談の充実 これからの進路指導にあたっては,とりわけ,進路指導に対する教職員の共通理解と実践のための協力体制の確立を図ることが大切である。 また,進路指導を行っていく上での中核となる進路相談の充実とともに,その環境の整備に努めることが大切である。 ○ 校内体制の整備や,綿密な指導計画の作成に努めるとともに,校内研修の充実を図る。 ○ 進路相談室や進路情報コーナーの設置・充実など環境の整備に努める。 ○ 進路に関わるデータの収集と蓄積や指導方法の工夫等により,進路相談の充実を図る。 5 小学校・中学校・高等学校の連携 生徒一人ひとりが将来の生き方を主体的に選択・決定できるようにしていくには,小・中・高等学校が連携して長期的展望に立った指導を推進していくことが大切である。とりわけ,中学校・高等学校の緊密な連携が必要である。 ○ 生徒理解のための小学校との連携を図る。 ○ 生徒が,各高等学校の特色を理解できるようにするための高等学校との緊密な連携を図る。 ○ 進路指導中・高連絡協議会の充実を図る。 6 家庭,地域との連携 進路指導を効果的に推進するためには,学校・家庭・地域がそれぞれの役割に応じてその機能を十分に発揮し,連携・協力して取り組むことが必要である。 ○ 中学校の進路指導のあり方や高等学校の特色等の情報提供により,保護者への啓発に努める。 ○ 家庭,地域との連携・協力による啓発的体験活動の充実や,地域教育力の活用に努める。 III 中学校の進路指導の課題と具体的方策 1 中学校の進路指導と入学者選抜制度との関連 このたびの入学者選抜制度の改正は,生徒一人ひとりの個性を多面的にとらえ,調査書の評定や学力検査などのいわゆる数値のみではなく,生徒の特性や長所に着目した制度とすることとし,生徒一人ひとりが,自らの進路希望に基づいて学校選択ができるような基本的な考え方に立って行われた。 それらの改正の趣旨を踏まえ,これからの進路指導を進めるためには,生徒一人ひとりの能力・適性,興味・関心や将来の進路希望等を重視した指導を行うとともに,それらが効果的に進められるように学校,家庭,地域が,従来にもまして,生徒の将来について生徒を中心に据えて考えていくことが必要である。 さらに,こうした進路指導を推進していくにあたっては,生徒の多様なニーズに応えていける特色ある高校づくりを踏まえるなど中学校と高等学校との緊密な連携が大切である。 2 具体的な方策 ○ 進路指導資料の作成と活用 教師用指導資料を作成するとともに,生徒用学習資料を作成し,進路指導での活用を図る。 ○ 進路指導研修の充実 進路指導担当者会議と進路指導研修会を通して,進路指導研修の充実を図る。 <別紙資料2> 高等学校の特色づくりについて(基本的方向) I 特色ある高校づくりの基本的な考え方 1 高等学校教育のあり方 高等学校段階の生徒は,青年期にあって,心身の両面にわたる発達が急激に進むとともに,自我の確立する時期にある。 学校教育法においては,高等学校は「中学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,高等普通教育及び専門教育を施すことを目的」としており,その目的を実現するための教育目標のひとつとして,「個性に応じて将来の進路を決定させ,一般的な教養を高め,専門的な技能に習熟させること」と定められている。 高等学校ヘの進学率が著しく上昇し,中学校卒業者のほとんどが進学する状況の中では、生徒一人ひとりが主体的に生活していくために必要な基礎的。基本的な知識・技能を習得させるとともに,多様な生徒の個性を一層伸ばしていくことが求められている。 2 特色ある高校づくりのあり方 ○ 高等学校ヘ入学してくる生徒の,多様な個性を生かす教育を進めるとともに,生徒の能力・適性,興味・関心,進路希望等に応じて自主的に学校選択ができるよう,特色づくりを一層進めていく必要がある。 ○ 各高等学校の特色は,地域社会や中学校に対する,それぞれの学校の「顔」となるものである。各高等学校はそれぞれの特色を,他の高等学校とは異なる学校独自のものとして,地域社会や中学校に理解してもらうように努めるとともに,高等学校に対する地域社会や中学校の期待や要望に応えることができるよう,地域に根ざし,開かれた特色ある高校づくりを進めていく必要がある。 ○ 各高等学校における特色は,専門コースのような教科活動による特色から,部活動の伝統などによる特色づくりまで幅広いが,各高等学校での特色づくりは,教科活動を基盤としつつ,これまで進めてきた特色づくりをさらに充実させたり,現在もっている学校の個性や特色を顕在化させるなど,それぞれの実状に応じて進めていく必要がある。 II 教科活動による特色づくりの展開 1 特色づくりと入学者選抜制度 各高等学校の特色づくりによって,中学生の多様な個性を生かした学校選択が行われ,また,各高等学校においては,多様な選抜尺度を積極的に活用した入学者選抜によって,個性豊かな生徒の入学が可能となり,その結果,各高等学校の特色づくりがさらに進むものと考えられる。 入学者選抜にあたっては,それぞれの学科やコースをはじめ,各高等学校の教育目標等に応じた学校の独自性が生かされるよう,特色ある教育課程や教育活動などの教科活動に基づいた選考が行われることが望ましい。専門学科や専門コースについては,それぞれの特色が教科活動と深くむすびついており,その専門性に応じて教科活動の中から選考にあたっての基準が定められる。その他の高等学校にあっては,特色ある教科活動に基づく基準により,調査書や学力検査の結果とともに,入学を希望する生徒の能力・適性,興味・関心等を考慮した選考が行われることが望ましい。 2 今後の特色づくり これまでにも本県では,普通科での専門コースの設置や特色ある教育課程編成,技術革新等に対応した職業科高等学校での学科改編など,教科活動による特色ある高校づくりを進めてきた。また,各高等学校においても,特色ある教育課程の編成や類型の設置など,教科活動を通した特色づくりが行われてきたが,各高等学校においては,今後,他の学校とは異なる教育課程の編成や科目の設置などの工夫によって,教科活動の中での特色づくりを一層進める必要がある。 〔教科活動による特色づくりの具体的内容〕(実践例) <専門学科>
各高等学校の特色が地域社会や中学校に十分理解されるとともに中学校の進路指導に適切に反映され中学生の学校選択に役立つものにするために,中学校・高等学校のより緊密な連携が必要である。 III 教科外活動による特色づくりの展開 教科活動での特色づくりとともに,これまで本県では,各高等学校における特別活動や部活動等の,教科外活動での主体的で創意ある取組みへの支援を進めてきた。特別活動や部活動など教科外活動への取組みによって,学校の活性化や個性化が図られ,各高等学校の特色が一層幅のある多様なものとなることから,今後,各高等学校においては,教科外活動での特色づくりについても充実を図る必要がある。 〔教科外活動による特色づくりの具体的内容〕(実践例) (1)特別活動等での特色
IV 特色ある高校づくりにあたっての留意点 ○ すべての高等学校で,特色づくりに向けた取組みが進められること。 ○ 特色づくりの成果が,結果的には学校全体の活動につながること。そのため,学校の実状等によっては,特色づくりのテーマが複数になることもあること。 ○ 特色づくりが,地域社会や中学校に理解され支援されるようにすること。そのため特色づくりが,地域社会や中学校の声にも耳を傾けるなど,地域に根ざし,開かれた学校づくりの中で進められる必要があること。 ○ 特色づくりが,将来にわたって継続されるよう配慮すること。 V 各高等学校での「魅力と特色ある高校づくりプラン(魅力プラン)」構想 各高等学校における特色づくりの基本的考え方や,これからの取組みのあり方などを計画としてまとめ,今後の特色ある高校づくりに活用する。 ○ 教科活動等において明確な特色をもつ学校では…… 平成6年度…………「魅力プラン」の作成 平成7年度以降……これまでの特色づくりの継続 ○ 現在もっている個性や特色を顕在化させ,特色づくりを行う学校では…… 平成6年度…………「魅力プラン」の作成 平成7年度…………特色づくりのための具体的方法検討 平成8年度以降……特色づくりの計画的実施
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グループ | 氏名 | 分会 |
教育課程 | 海野範幸 | 相台工 |
〃 | 柳川 弘 | 神工 |
〃 | 中野直人 | 都岡 |
〃 | 井出浩一郎 | 田奈 |
〃 | 山本真理子 | 翠嵐 |
〃 | 海老原正子 | 二俣川 |
〃 | 渡辺 顕 | 横須賀工 |
〃 | 藤井幹夫 | 川崎工(定) |
〃 | 山田 寛 | 横須賀工 |
〃 | 島村照一 | 岡津 |
〃 | 田中紀雄 | 光陵 |
〃 | 飯川 賢 | 汲沢 |
教育条件 | 早川芳夫 | 向の岡工 |
〃 | 永野広務 | 緑ケ丘 |
〃 | 三橋正俊 | 中沢 |
〃 | 谷中達夫 | 市ヶ尾 |
〃 | 山口清隆 | 保土ヶ谷 |
〃 | 川本一雄 | 保土ヶ谷 |
〃 | 米山 謙 | 向の岡工 |
〃 | 三浦 格 | 柏陽 |
〃 | 大浜信宏 | 釜利谷 |
〃 | 横山常昭 | 城北工(定) |
学区・入選 | 本間正吾 | 川崎北 |
〃 | 小野寺厚志 | 保土ヶ谷 |
〃 | 溝口一朗 | 大船 |
〃 | 三浦真澄 | 中沢 |
〃 | 和智匡雄 | 川崎(定) |
〃 | 山崎 譲 | 足柄 |
〃 | 小山晴美 | 新磯 |
〃 | 秋山 崇 | 長後 |
事務局 | 小川眞平 | 商工 |
〃 | 高瀬匡雄 | 向岡工(定) |
〃 | 金沢信之 | 柿生 |
〃 | 佐藤 治 | 横須賀(定) (〜94.3) |
顧問 | 中野渡強志 | 相工台(定) |