神高教職場討議用資料
高総検学区問題小委員会報告
1986.3.20
I 経過
1.はじめに
1985年,高校問題協議会は,100校計画完成時期を目指して,学区の適切な改編・分割をすすめる方向で具体的な検討に入る必要があるとの答申を行った。それに基づいて,85年5月に現行学区及び入選制度の改善について検討するための入選協(公立高校入学者選抜制度検討協議会)が設置された。神高教はこの協議会(25名で構成)に委員として飯田副委員長を送り,神高教方針の反映実現に努めることとし,併せて,神高教としての具体案を作成するために高総検の中に学区問題小委員会を設置して,すぺての現行学区について見直しと検討を行なうこととした。
9月28日に第1回の小委員会を開催し,その後逐次検討を行ない,86年2月19日までに6回の小委員会によって具体案の作成をみるに至った。今後,この具体案をもとに協議会などにおいて,現行学区の分割・縮小への運動をすすめていくこととなった。新学区制度は1988年度より実施の予定である。
2.小委員会の検討経過
(1) 第1回小委員会(9月28日)
(ア) 委員の確認と小委員長の選出
小委員長:早川(生田)
委員:三橋(相武台) 円谷(田奈) 馬鳥(西浜) 田中(舞岡) 和智(瀬谷) 石田(平工) 岡(上鶴間) 山崎(秦野)
本部:飯田副委負長,中野渡執行委員
(イ) 重点学区より委員の補充を行なう。(横三学区,県央学区)
(ウ) 月1回程度開催をし、86年1月中旬頃までに成案を得ることとする。
(2) 第2回小委員会(10月22日)
(ア) 補充する委員の確認……三木田(逗葉),萩谷(綾瀬)
(イ) 委員の担当学区の割りあて
○横浜北(円谷) ○横浜中(田中) ○横浜南(和智) ○川崎(早川) ○横・三(三木田) ○藤沢・鎌倉・茅ケ崎(馬鳥) ○県北(三橋・岡) ○県西(萩谷) ○秦野・伊勢原(山崎) ○平塚,県西(石田)
(ウ) 学区の基本理念の確認
- 希望するすべての青少年に後期中等教育は保障されるべきものである。
- 中等教育においては,生活の基礎としての人生選択の基本を作ることが重要であり,発達段階からみても,前期中等教育(中学)と後期中等教育(高校)との間にある選抜という要素は徐々に取り除かれていくべきである。
- 「機会均等」「学習権のより充実」という観点から現在の制度に改善を加える場合,適切な学区の設定がまず考えられねぱならない。
- 現状の学区の放置は,受験競争の激化を招き「勝者の自由」「弱者の不自由」の分化を促進し,格差の拡大を促すことにより,教育の荒廃状況を助長するだけである。
- 公教育の役割をはたし,地域に根づく高校づくりを促進するため,また,適切な進路指導を確保するためにも学区の分割縮小は急務である。
(エ) 学区分割にあたっての基本原則の確認
神高教の分割に当たっての基本原則
- 行政区画よる分割を第一に追求する。
- 交通体系・生活圏も配慮しつつ・次の段階では・中学校区にまでメスを入れる。
- 必要があれぱ,現行学区の境界線についても見直しを行なう。
- 以上の点に着目しつつ,すべての学区について検討を加える。
- 今次の学区分割・縮小の目標を1学区2〜6校の中学区制の実現に置く。
- 新設100校計画達成時を想定しての分割案とする。
- 特例校の措置(開門率の不均衡是正策)についても,一定の見解を確立しておく。
- 学区分割の困難な地域においては,総合選抜制度の導入等入選制度の改善も併せ検討する。
(オ) その他確認事項
- 学区分割の目標は,小学区制の実現にあり,今回の分割縮小は,77年に高総検で打ち出さ学区縮小段階的改革プラソ(80年に一部修正)にもとづく改善の過渡的段階である。
- すべての学区について具体的検討を行なう。
- 今回の改善にあたって,前回縮小を行なわなかった学区(A),緊急に縮小を行なわなければならない学区(B),改編が必要な学区(C)の順に検討を進めていく。
(A)横須賀・三浦学区,県西学区
(B)鎌倉・藤沢学区,県央学区,県北学区
(C)横浜東・北学区,横浜中・南学区,川崎南・北学区
(カ) 今後県民に対する宣伝活動を強化する。その際学区ごとに・地元の高校を育成するという観点で行う。当面11月26日の県北地区の学区縮小をめぐるシンポジウムの成功に向け取り組みを行う。
(3) 第3回小委員会 (1985年11月22日)
(ア) 入選協運営委員会の今後の検討の進め方についての報告
運営委員会の今後の検討の進め方について
- 入選協・高問協における,通学区域の改編・分割についての基本的考え方を踏まえ,高校100校新設計画達成後の各通学区域の高等学校数,交通体系,生徒の通学状況等を勘案しながら,通学区域の改編・分割を進める。
- 現行のそれぞれの通学区域について,その問題点,課題等を明らかにし,その解決にむけての具体的な方策について検討を進める。
- 具体的検討に当たっての留意事項
ア 各通学区域における中学校卒業者数の急増急減の状況や,これまでの中学校卒業生の進路状況等を踏まえ,中学校における進路指導に混乱を生じさせないように配慮する。
イ 中高連携,地域に根ざす高校づくりの推進に配慮する。
ウ 生徒が居住地によって高等学校受験の機会が大幅に異ならないよう,また,父母や生徒の希望が生かせるよう配慮する。
工 各通学区域の生徒受け入れ枠の不均衡を是正するため,従来から特例校の措置が講じられているが,その解消を図るという視点を大切にする。
オ 各地域の歴史的・文化的な結びつきや生活圏について配慮する。
力 私立高等学校のこれまでの実績を踏まえ,その配置状況等に配慮する。
(イ) 神教組との協議(1985年10月22日)
(報告)神高教の学区分割にあたっての基本原則に対しては,神教組もこれに全く同意。また,今後とも両者の間で十分連絡を取り合うことも確認された。
(ウ) 学区分割第一次素案が各委員より提示された。それらの各案に対して検討を行ない,次回において第二次素案を検討することとした。
第一次素案を検討した学区
川崎南・北学区,横須賀・三浦学区,県北学区,県央学区,秦野・伊勢原学区,平塚学区,県西学区
(4) 第4回小委員会(1985年12月13日)
(ア) 学区分割第二次素案の検討
前回小委員会で検討された8学区の分割第二次素案が提起され,討議・検討を行ない,間題点を手直しした上で次回に成案を得ることとした。
(イ) 学区分割第一次素案の検討
前回検討されなかった,横浜地区,鎌倉・藤沢学区,茅ケ崎学区の第一次素案が提起され,討議・検討を行なった。次回に第二次素案を提起の上、事務局で成案を得ることとした。
(ウ) 次回を1月中旬に開催し,当初の予定通りの日程で具体案を作成し入選協の中にそれを生かしていくことが確認された。
(5) 第5回小委員会(1986年1月24日)
(ア) 学区分割最終案の作成
- 前回小委員会において第二次素案が提起された8学区の最終案の提起。
- 前回第一次素案が提起された,横浜地区,鎌倉・藤沢学区,茅ケ崎学区の第二次素案が提起され,検討が行なわれた。
- 今後,全ての学区について最終案を作成するために,今回提起された具体案を,小委員長,高総検事務局,本部とで整理し,小委員会答申の原案を作成し,次回小委員会に提案することとした。
(イ) 日教組全国教研の臨教審問題特別委負会においてレポート報告したことについての報告。
(6) 第6回小委員会(1986年2月19日)
(ア) 小委員会答申案の検討。
(イ) 今後の運動のすすめ方についての討議と確認。
(ウ) 神教組との連携をすすめるため,3月3日に両者の協議を行なう。
(エ) 小委員会での検討は今回で終了し,今後は必要があれぽ開催することとし,第4期高総検の終了をもって解散することを確認した。
(7) 神教組との協議(1986年3月3日)
(ア) 神高教案と神教組案とのつきあわせ,大筋において一致した。
(イ) 教宜資料の作成等今後,協同して行うことを確認した。
II 学区分割案
すべての学区について分割・再編の検討を行ない次のような結論をえた。
(ア) 横浜地区
現行6学区を行政区を基本としながら各々2分割し,12学区とする。戸塚区の分区に伴う線引きの変更を行なう。一部地域については中学校区の調整必要。(1学区当り4〜5校)
(イ) 川崎地区
現行2学区を再編・分割し3学区とする。学区は行政区による線引きを基本とするが,一部行政区を分割し調整を行なう。一部地域については開門率調整必要。(4〜8校,北部については調整必要)
(ウ) 横須賀・三浦学区
交通体系を考慮して2分割する。一部交通不便地については特別に配慮する。(1学区6校)
(エ) 藤沢・鎌倉学区
交通体系およぴ行政単位を考慮して3分割ないしは2分割する。一部地域について開門率の調整必要。(3分割の場合3〜4校,2分割の場合4〜7校)
(オ) 茅ケ崎学区.・
現行通りとする。(5校)
(カ) 平塚学区
行政単位により2分割る。若干の開門率調整必要。(2〜5校)
(キ) 県北学区
交通体系を考慮して3分割ないしは2分割する。(3分割の場合4〜6校,2分割の場合7〜8校)
(ク) 県央学区
行政単位による3分割を行う。その際,交通体系を考慮する。若干の開門率調整必要。(5〜6校)
(※注 開門率 = 普通科全日制入学定員 / 学区内中学卒業者)
(ケ) 伊勢原・秦野学区
行政単位による2分割を行なう。(2〜4校)
(コ) 県西学区
交通体系を考慮して2分割する。(1学区4校)
III 入選協への対応
この協議会に対する神高教の対応の基本は、高校教育に直接責任を負っている高校教育現場を代表して,委員を送り,神高教方針の実現に努めることである。これに尽きるといってよい。
そのため,組織内に設置された検討研究組織の活動を活発化するとともに意見交換等を密にし,説得力ある具体案をもって対応していくことが必要である。”今日,14・5歳のところにある子ども達の状況がどのようなものであるか”についての分析,”中等教育は本来どうあるべきか(前期・後期で区切るのではない)”の追求等をふまえ,積極的な役割を果たしていくことが私たちに期待されているといってさしつかえないであろう。
IV 今後の運動の進め方
- 学区分割・再編が成功するか否かは,ひとえに我々の運動にかかっている。とくに伝統校等の配置の関係から学区分割を阻害する様々な動きが予想される。それらを克服するためには,我々自身が学区分割による教育的メリットを地域・県民に浸透させる運動をつくりあげていかねぱならない。
- 学区分割の運動の進め方
- 学区分割神高教案を組合員に示し,分割の必要性と緊急性を組合員に提起する。さらに,6月に開催される高総検討論集会で分科会を設定し,組織内の議論をすすめる。
- 学区分割に関するパンフを作成し,組織の内外に分割の必要性をうったえる。
- 神教組・浜高教と協同して運動をすすめ,神教組などの開催する懇談会等へも組織的に対応する。
- 県の主催する広聴会に組織的に対応し,神高教の考えをうったえる。
- 学区縮小の必要性をうったえる宣伝ビラを作成し,父母・県民によびかけ議論を起こす。
- 学区分割が緊急の課題となっている地域において県民討論集会等を開催する。
- 神高教としての具体案の検討をさらにすすめ,県当局にその実現をせまる。
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