高総検レポート No 30

1996年8月5日発行

高総検・分代・対策会議等における「総合的選考で重視する内容」を巡っての検討の経過(概要)

 各高校が作成した「総合的選考で重視する内容」が、募集案内の形で県民に公開されます。昨年より、高総検レポート、本部執行部の発行した討議用資料、分代・対策会議の討議を踏まえて各現場ではこの件についての検討がなされてきたことと思われます。
 しかし、定期大会の議案書にも書かれているように、県当局と各校とのやりとりの中で混乱を生じました。高総検レポートや討議用資料に書かれた本部方針に基づいて作成した「重視する内容」に対して、当局の強い指導が入ったという現実がありました。県当局と神高教執行部との間で、現場の意向を尊重するという確認がとれていたにもかかわらず、多くの高校で書き直しを実施しなければならないような事実がありました。
 高総検としても、この3月以後の情勢については情報の無い状態が続きました。そこで、3月までの検討の経過を整理し、高教組がこの件にどのように対応しようとしたのかを再確認したいと思います。

【1】高総検と中学現場との意見交換
 これまでも教育課題について意見交換をしてきた神教組の「教育制度検討委員会」と新入試について話し合いを持ちました。「教育制度検討委員会」は神教組に設置された教育課題について検討し、報告を行う組織です。そこでは、中学校現場の生の声を聞くことができます。95年10月6日に行われた会議では、(1)推薦入試(2)傾斜配点・入試教科の弾力化、(3)複数志願制(第一希望・第二希望)について意見交換を行いました。「重視する内容」とも関連する部分がある傾斜配点については、「教育制度検討委員会」としては反対していることが確認されました。専門コースを除いて、普通科には傾斜配点は導入されませんでしたが、「選考で重視する内容」にはそれに近いものが出てきています。
 教育制度検討委員会同様、私たち高総検および神高教執行部も傾斜配点や入試教科の弾力化が中学教育に与える影響の大きさについて認識し、反対してきました。   (【2】【3】を参照)

【2】入選対策会議の実施
 95年11月21日に専門学科・専門コース・神奈川総合・総合学科を対象とした対策会議が、11月29日には全日制普通科を対象とした対策会議が実施されました。ほぼ同様の資料を使用して会議は行われ、質疑応答・情報交換が行われました。その席上で、執行部は資料として(1)当局との協議内容と(2)具体的な取り組みについての案を提示しました。

(1)県当局との協議内容(当日の資料から引用)

(2)具体的な取り組み(案)の提示(当日の資料から引用)

【3】分代での討議、本部方針提起
 対策会議、教育制度検討委員会との会議、高総検での検討などを踏まえて執行部は12月8日の第14回分代で「総合的選考で重視する内容」についての本部方針を提起し、認められました。

本部方針(分代の資料から引用)

 執行部は「総合的選考で重視する内容」について2月2日付けでアンケートを実施しました。そのアンケートをもとに第17回分代で執行部は問題点の指摘を行い、各現場に検討の要請を行いました。

問題点の指摘(分代資料より引用)

 さらに、2月23日に実施された分代において「選考にあたって重視する内容」を策定する際、一部校長がC(学習検査)を使用できないと発言していることについて執行部から当局と再確認したとの連絡がありました。

「選考にあたって重視する内容」に関して(連絡)………当日の資料より引用

【4】3月4日以後
 各高校は「選考にあたって重視する内容」を3月4日に県当局に提出しました。しかし、県当局は新入試に合致しないものがあるとの判断から全ての高校に3月25日締切で再検討を求めました。結局、各現場は他校が県当局から何を言われているのかを知ることができず、神高教執行部の方針との関係を整理できないまま、混乱した状況で再検討をせざるを得ませんでした。
 さらに、再検討後に提出されたものにっいても、新入試に合致しないと判断された高校については、県当局は強い検討の要請を行いました。5月初旬に電話連絡で検討が要請され、混乱を生じました。検討要請は文言上のものから内容そのものに及ぶものまで様々であったようですが、どのような「選考にあたって重視する内容」が再々検討になったのかを県当局は明らかにしていません。
 高総検としては3月以降に何があったのかを把握しなければならないと考えています。そのために、各高校にこの件でアンケートをお願いしました。当局と組合が協議し一致を見た点を乗り越えて再提出・再々提出が求められていたとしたら問題です。
 今後は各高校において、神高教執行部の方針を再確認し、選考にあたっての内的基準を作成する必要があると思います。特に、傾斜配点につながるもの・入試教科の弾力化・学校外の活動・特別活動等についてはこれまでの議論を踏まえ、慎重に検討する必要があります。内的基準の作成については中学校教育との関係を忘れてはならないでしょう。

参考

最近の新入試関連配布資料

95年 9 月 16 日 高総検レポート No23
希望者全てに開かれた地域の高校づくりを!!
総合的選考で重視する内容の検討に際しての基本原則と対策
95年11月 24 日 神高教職場討議用資料 95-14
新たな「入試制度」(全日制) の概要
95年12月 8 日 神高教職場討議用資料 95-16
「特色ある高校づくり」と「入試改革」について(これまでの協議の整理)Q(神高教)&A(県教委)
95年12月18日 神高教職場討議用資料95-17
「特色」での選別は問題あり、「特色」によるハードルはできるだけ低くしよう
96年2月16日 高総検レポートNo25
“ハードル"はできるだけ低く!「総合的選考の基準」について