第2章 教職員に関する新たな人事評価システム策定の必要性 2 教職員に関する新たな人事評価システム策定の必要性 (1)学校現場の状況と求められる教員像 教員の活動は、相互の干渉せず、前例踏襲的・画一的になりがちであるといわれ、また、社会の変化に対応できない学校の閉鎖性も指摘されているところであり、「学校の常識は世間の非常識」と批判されるような状況があることも否定できない。いわゆる「学級崩壊」などの教育課題に対しても、校内での協力体制がとられなかったり、地域や関連機関など外部との連携が乏しい場合には、深刻な事態からの回復が困難であるといわれている。 また、管理職である校長、教頭以外は職員の大多数が同じ「教諭」職にある単層型のいわゆる「なべぶた型」組織といわれる学校では、教員間に均質的な横並びの意識が依然として強く、社会の変化に即応した意識改革がなされず、教育改革への組織的取り組みも滞りがちで、学校の活性化が進まない面がある。 |
1. いまなぜ教育改革か 教育は社会サービスであり経済活動とは自ずと異なる面を持っている。しかし、教育行政や教育機関の情報を開示し、適切な評価を行うことで健全な競い合いを促進することが、教育システムの変革にとって不可欠である。学校は学ぶための場であり、その本来の機能を果たすようにしなければならない。教育機関はぬるま湯につかっていてはならない。親は子どもの学校が安心して通わせられる良い学校であって欲しいと願っている。学校に刺激を与え、それぞれの学校が不断に良くなる努力をし、成果が上がっているものは相応に評価されるようにしなければならない。 |
T 指導力不足教員等に対する教育委員会の指導指針 1 指導力不足教員等とは (指導力不足教員等の例) 授業が成立しない
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公立学校教員の受験者数が12年度が14万7,000人で,採用された方が1万1,000人で13.3倍なのだという現実を知って,本当にこんな厳しい状況だったのだということで,本当にびっくりしました。それだけ上が詰まっているということなのですね。そういった意味でも,ほかの委員がおっしゃるように,私は終身雇用という形に問題があると思います。企業でしたら成績が上がらなかったらすぐにリストラという方向にいってしまう厳しい状況の中で,ちょっと生ぬるいかなということを,実際このデータで知りました。 我々民間の企業で生活している人間からすると,教育公務員というもののビジョンといいますか,一旦先生になってしまえば終身雇用が確保されるような余りにも甘いシステムの中にあるということに対して,現場にいるいろいろな方と議論したことがありますけれども,大問題だと思います。やはり厳しい競争主義といいますか,先生になってから5年目ぐらいに,果たして教員として本当に適切な問題意識があるのかどうかという,5年目ぐらいのところでの区切りと,その後,10年ぐらいたったところで,教員免許をきちんと更新する仕組みをつくらなければだめだと思います。 やはり終身雇用には非常に問題があると思います。教員の役割や責任の重さを考えてみましたときに,大学の現場で,あるいは学校の教員の現場を見ていますと,誠に残念ながら人間的な成長が見られない教員,ぬるま湯につかった教員がいるのは事実です。そういう教員の下で子どもたちや生徒たちが非常に苦しんでいるのも事実だと思います。90%の教員が問題なくても,10%に問題がある。そこに対してはきちんとした対応をとっていかなければいけないのではないかと思います。 |
■いつの時代も求められる資質能力 (旧教養審答申『教員の資質能力の向上方策等について』〔87/12/18〕から引用) 専門的職業である『教職』に対する愛着、誇り、一体感に支えられた知識、技能の総体 ■今後に教員に求められる具体的資質能力 子どもたちに『生きる力』を育む教育を授ける 1.地球的視野に立って行動するための資質能力 ・地球、国家、人間等に対する適切な理解 ・豊かな人間性 ・国際社会で必要とされる基本的資質能力 2.変化の時代を生きる社会人に求められる資質能力 ・課題解決能力等に関わるもの ・人間関係に関わるもの ・社会の変化に適応するための知識及び技能 3.教員の職務から必然的に求められる資質能力 ・幼児、児童、生徒や教育の在り方に関する適切な理解 ・教職に対する愛着、誇り、一体感 ・教科指導、生徒指導のための知識、技能及び態度 ■得意分野を持つ個性豊かな教員の必要性 「学校では、多様な資質能力を持つ個性豊かな人材によって構成される教員集団が連携・協働することにより、学校という組織全体として充実した教育活動を展開すべきものと考える。」 「専門家による日常的な指導・助言・援助の体制整備や学校と専門機関との連携の確保などを今後さらに積極的に勧める必要がある。」 「画一的な教員像を求めることは避け、生涯にわたり資質向上を図るという前提に立って、全教員に共通に求められる基礎的・基本的な資質能力を確保するとともに、さらに各人の得意分野づくりや個性の伸長を図ることが大切である。」 |
教員の適格性とは、「雇用形態を多様化」していく現場にあって、物言わぬ「末端の労働力」として大過なく過ごせることであり、さらには、「マネージメントのプロ」を目指す「スペシャリスト集団」の一員としての高い評価を得るように努力できることである。 高い評価を得る教員とは、「企業経営や組織体における経営者に求められる専門知識や教養」を持ち、「競い合い」に勝ち抜ける新たな学校作りに主体的に参画する者、つまり、学校間生徒獲得競争における〈営業スタッフ〉である。 |