高総検レポート No 68
2004年7月1日発行
2004年度入選に関するアンケート
「前期選抜」に関して【集計結果】
2004年度入試の実態把握のためのアンケートの報告をします。2回目のアンケートと内容が重複した項目は後期の欄に載せてあります。記述された内容は、申し訳ありませんが、同趣旨のものはこちらでまとめてしまいました。
分会数(116)(全日普通科83、専門学科17、定時4、単位制普通科・総合学科12)
1.全体的な質問
(ア)面接に要した日数は
*応募の予想がつきにくかったので3日にわたるところも出ました。
(イ)募集定員枠を超えて合格者をとりましたか。(全日2%、定時5%の利用状況)
↓内訳
1人 |
2人 |
3人 |
4人 |
5人 |
6人 |
11 |
6 |
0 |
3 |
0 |
1 |
*辞退の予想もつきにくかったという指摘がありました。
(ウ)発表後の取り消しがありましたか。
↓内訳
1人 |
2人 |
3人 |
4人 |
5人 |
8人 |
10人 |
13 |
12 |
2 |
4 |
1 |
2 |
2 |
*取り消しの予想もつきづらい入試でした。
2.入選作業の体制及び勤務条件について (項目の後ろの数字は該当数)
・ 入選担当委員の仕事で、問題(勤務時間、等)になったことはありますか。
- 1月になり例年をこえる仕事量で、7時以降になることが少なくなかった。 15
- 1月になり会議、準備などで5時以降2時間位になることが多かった。 33
- 一年を通じて、仕事量が増えて、5時以降まで会議が延びたことが数度ある。 19
- それ以外 17
- 前期の方が募集人数が多いのに、日程が後期よりきついのは改善して欲しい。入試日程を見直すべし。 3
- 重要な日程が月曜に集中し、準備の都合、日常業務との関係両面で問題が起きた。
- 仕事量が多く、授業に支障 2
・ 入選作業用のコンピューターについて(台数、システム等)は問題がありましたか。
- 2,3台のコンピューターを入選用に確保できた。 46
- 7.8台のコンピューターを入選用に確保できた。 2
- 作業のためコンピューター教室を、インターネットを切って使用しようとした。 14
- その他の問題 11
3.面接について
・ 面接を行う体制で問題になったことはありますか。複数回答可。
- 面接官を3人以上配置した。 23
- 予定終了時間より、ずいぶん遅れてしまった。 1
- その他 20
- 人的配置に苦労した。受検者数が多くなり、面接官を3名から2名に減らした。
- 少ない教員。多い受検者で2日に及ぶ面接が必要で、限界に近かった。
- 面接官の不足。常勤数の数減少。(専門学科)
- 全定同日と言うことで、会場が足りなくて、一会場あたりの人数が多くなり、長時間待つ受検生も出た。
・ 面接評価に関してあがった問題は何ですか。複数回答可。
- 基準の統一を図るための研修(ビデオ、模擬面接など)をやった。 37
- A,Cの評価が積極的に多数ついた。 9(うち5:Aが多数ついた)
- Bの評価ばかりがついて差がつかなかった。 27
- 面接で、確認する中で調査書との相違がでた。 20
- 面接のできだけで、合否が決まるケースがあった。 4
- その他 18
- 基準を作るのが難しい。基準統一の為の研修などを行ったが、面接官、会場によって評価に偏りが生じた。基準統一は不十分、難しい。 2
- 検査会場でばらつきが出た。面接官の個人差が大きい。 7
- 10分で何がわかるのだろうか。評価できない。面接の必要性に疑問。面接で聞くことが限られているので、一面的な評価しかできない。 6
- 生徒に対する接し方が、面接官によって、違うために、生徒に与える印象が違ってくる。生徒の側に影響をあたえているかもしれない。
- 志望動機などがきちんと言えていれば、B。著しく志望の意志が認められない者をCとしているので、だいたいB。主観の差を小さく。
- 面接は五段階評価、資料欠扱いが多く、調査書は点数化しないので、面接の評価で合否が決まるケースに成らざるを得なかった。(定時)
4.調査書についての問題
・ 面接を行う体制で問題になったことはありますか。複数回答可。
- 調査書の記述にばらつきがあり、想定した基準での抜き出しに困難があった。 50
- 調査書と自己PR書で事実の記述の相違があった。 32
- 教科の記録で、絶対評価なので、中学毎の成績にばらつきを感じた。 49
- その他 12
- 記載事項に中学校側が意図するところと、高校側が必要とすることに差があり、困難を極める。 2
- 中学校毎だけでなく、教科担当者、担任によって評価基準がばらつきすぎている。読みとりミスがあって当然と考えるほど、記載事項がばらついていた。曖昧な表現があり、判断に迷った。 2
- 3年次に4,5の割合の高い中学がいくつかあった。ある私立中学は3年の成績をオール5にしてきた。 2
- 記述の仕方により、有利不利が多少生じた、中学校側である程度統一した方がいいかもしれない。絶対評価に関しては、甘くつけた中学校に有利で、やった者勝ちの感がある。
- 調査書の記述に明らかな誤りと思われるものがあった。中学側に問い合わせをして、20から30校の調査書を差し替えをした。
- 絶対評価の調査書を使って前期選抜をすることには無理がある。 3
5.調査書と自己PR書との記載内容の相違
- 相違があったか
いいえ ( 22 ) はい ( 46 )
- 記載について担任間の不統一があったと感じたか
感じない( 4 ) 感じた( 73 )
- 相違があったときどうしたか
A 調査書の記述 |
B 面接で確認 |
C 中学に問合せ |
D その他 |
40 |
7 |
5 |
4 |
D その他
- 本人の言い分は私的なもの、調査書は公的なものと判断した。
- 自己PR書を信じることを前提とした。
- 大きな相違ではなかった。記入のある、なしだったので、特に問題にならず。
- 面接で確認できたものは、記載した。面接で確認して、面接点で評価した。
- 客観的資料という意味では、調査書を使うしかないと判断。面接で関連した質問をして調査書の確認をとりました。
- 本人、中学校への確認は行わずに可能な限り調査した。
- 各面接官が判断。
- 調査書差し替えを中学校に要請。
6.調査書の学習の記録以外の扱い
- 点数化について
点数化していない( 17 ) 点数化している( 63 )
- 点数化していない場合の選抜資料としての扱いについて
ほとんど使わない( 2 ) 使う( 11 )
- 点数化しないでつかうときはどのように資料か
- 学習の記録・面接と三つならべてパケット方式
- 特記事項の有無、顕著な事項の有無を資料にのせる
- 中学校向けに公開している基準について、あるかないかのチェックを行った。
- ランク別に分けている。A〜Eなど。
- 全国大会、県大会、市大会という具合に優勝した実績に序列をつけた。
- 条件としてやっていたかやっていないかといったあつかい。
- 記載事項によって、いろいろな分野においてaの個数を与えている。それの総数により、A〜Cまでのポイントを与えている。
- 生徒会、部活、委員会、ボランティア等について、3年間継続で主将、委員長、生徒会長、学校代表等であればA、3年間継続であればB、3年間継続していなければC、特記事項があればワンランクアップ。
- 特記事項、生徒会役員、部長経験などで「有」の者は重視をする。
- 調査書の記載事項の抜き出しについて、昨年と比べてどうしたか
A 細分化複雑化 |
B 同じ基準 |
C 簡略化させた |
31 |
32 |
15 |
その他の問題要望
- 何回も点検をおこない読みおとしのないようにしたが、読み落としのないような工夫はないか全県レベルで考え検討してほしい。抜き出し、点数化については問題多い。
- 点数化の基準にも、抜き出し作業にも、構造的な問題があり、誰もが納得することはムリです。完全にミスをなくすのもムリです。
- @日程の問題、A調査書記載方法−記入ミスや表記の仕方により、評価が変わる可能性もあるので、統一した方が、受検生に公平だろう。
- 同じ内容でも記載者により記載場所・記載の方法が違うケースがあった。
- 中学の調査書の記載を明確に区別し、判別が誰もが容易にできるように工夫を。
- 中学校の記述が統一されていないので、有利・不利が生じる。(絶対評価もそう)
- 中学の部活動と民間の活動に差がありすぎる。部活動だけを大きく評価する基準になっていることが問題(校内的な問題)
- 記載事項を高校側のあまりに細かい評価基準に合わせて書かなければならない中学の先生方に同情する。
- 自己PR書の扱いが不明瞭である。自己PR書は不要である。
- 絶対評価の基準が、中学校間で著しく違うと感じた。
- 入学手続き後の取り消しが、いつまでも可能なのは問題。数の把握が著しく困難。
- 調査書の記載事項は、判断が難しいものが多い。全県的に記載基準を統一すべき。
- 調査書の記載内容について主観的な部分はなるべく書かないで客観的内容についてのみ統一的に書いて欲しい。文章から読み取る形で客観性をもたすのはあまりにも無理がありすぎる。担任の書き方次第で点数がかわってしまう。
- 前期選抜の合否が調査書によって決定されるので、絶対評価が中学校によって偏りが出てしまっていることは問題である。共通した選抜(試験など)方法が必要。
- 調査書の内容について中学校に問い合わせる時間がほしい。
- 調査書記載内容の定義付けが曖昧であった。
- 大会の実績・資格等を証明する書類を添付してほしい。
- 調査書記載方法の統一が必要。調査書の書式の変更が必要。(3)
- 公正公平性の意味から、調査書の記載の信憑性に疑問がある。(含む絶対評価)(2)
- 中学で調査書を中学生に開示して内容の確認をおこなうべき。
- 中学校の調査書の記載内容に統一性がないために、中学校に記載事項を周知させる必要があるが、各校がそんなことを言ったら、中学校は大変。
- 倍率1.8倍となり調査書読みとりに22:00までかかった。ミス防止には、授業大幅カットしての入選作業が必要。調査書読みとり基準は簡略化した方がミスが生じにくい。
7.前期全般をみて問題点は何だったでしょうか。複数回答可
- 基準選考が各校さらに複雑になり、中学生・保護者に理解を得られるか心配だ。 38
- 面接など、基準に曖昧な部分もあり、今後改善しないと説明責任を果たせない。 35
- 以前に比べて多くの受験生は来たが、それだけ不合格が増えるのは問題だ。 41
- 応募人数の増加が予想されたので、事務処理の煩雑さが心配になった。 42
- 新しい基準の中で、従来通りの選考ができるシステムかの不安。 11
- 高校側の意図した事が、志願者、保護者、中学の側で、十分理解されているか。 36
- 志願者へのこまかい情報提供の方法はどうするのか。 14
- その他
- 前期合格発表後の取り消しの対応。
- 前期合格発表後の取り消しが、五月雨状態に続き後期の応募、取り消しと重なってその正確な把握が極めて困難。取り消し数が想定できない。
- 私立高校への滑り止めとして利用された。
- 前期で不合格であっても、後期で合格できる生徒が多数見込まれるのに前後期にすることによって、チャンスが増えると言うよりは、多くの生徒に不合格を経験させるという結果を生む。15の春を泣かせないと言う考えはどこへいったのか。一回の入試で沢山。 2
- 願書調査書がほぼ同時に出て、読みとるには期間が短すぎる。調査書がそろうのが遅すぎる面接から発表までの期間が短すぎる。 2
- 入試準備から土日をはさみ、入試当日までの高校生は登校禁止となったが、センター試験を終え、出願などの相談にも乗れず担任は、気がかりだった。高校生がほったらかしになっている状況はよくない。
- 個性が尊重されるのは当然だが、個性が評価の対象となったり、合否がそれで決まるとしたら「受験戦争」以上に中学生を苦しめる。個性による選抜、は個性尊重ではない。個性による選抜は個性尊重と反対のものであり、根本から見直した方がよい。
- 絶対評価の評点が中学校毎にばらつきが大きく、公正な入選資料と使用することが可能なのか。 3
- 定時制と同一日程は避けた方がいい。受付窓口も一カ所なので、生徒への配慮がしずらかった。当日も会場を二分して、やりにくかった。
- 全定が一緒のために連絡調整に時間がかかった。この制度は定時制にとって大変厳しい。(定時)
- 有職の社会人を想定していたが、ほとんどが、中学の進路指導で全日制は無理だとされた生徒のようだった。全定が同時に入試を行うことで、不本意入学が増えるのか心配だ。
- 苦労して合格者と多数の不合格を出したが、後期選抜では、不合格者30名の内、25名が受検し、全員合格した。何のための前期選抜であったのか、さらに、二次選抜で30名を募集しなければならない。(定時)
- 二月に全日と同時に入試があることを、有職者や社会人は知っていたのかどうか。今でも入試に関する問い合わせがあるのだが。(定時)
- 各科毎に、募集時の特色を出そうとしすぎたきらいがある。来年度に向けて、検証する必要があるとおもう。(専門学科)
- 記載の仕方が、読みとりの方法に対応できない。調査書の書式を変えて欲しい。記載事項が具体性を欠き、判定基準で確認する困難さがあった。 3
- 評価項目が多くなり、チェックに非常に多くの時間を必要とした。もっと簡単にできないものか。調査書の記述記載は簡潔で客観性のある方法で。調査書の特別活動を重視しているが、出場大会の具体的記述がないものや、予選・本選(本大会)の区別が不明な者があり、判断に苦慮した。主催者のわからない大会の記録など、はっきりしない記述があり、中学によりばらつきがあり、統一させることが困難である。中学による記述の差異がある。担任レベル。 2
- 部活動の実績や資格などは照明するものを添付するなどが必要。
- 中学校の調査書の記載内容に統一性がないために、中学校に記載事項を周知させる必要があるが、各校がそんなことを言ったら、中学校は大変。
- 調査書の記述内容の得点化にあたり、その抜き出しは非常に煩雑で、中学校毎記述にばらつきがあるので、公平かつ正確に抜き出すことが極めてこの入試は、決定が早すぎる。中学生が、勉強する期間が短くなり、長期的には学力が落ちる。文部科学省のいう、「学力を付ける」のモットーに反する。中学校側の苦情をもっと一般市民に知ってもらう必要があり。
「後期選抜」に関して【集計結果】
回答数 92分会
1.募集人数など
(ア) 前期合格発表後の辞退があったか
1人 |
2人 |
3人 |
4人 |
5人以上 |
18 |
11 |
1 |
3 |
8 |
*半数の学校で、発表後の辞退者が出ています。5人以上のところもありました。
(イ)後期選抜の受験者の中で、前期選抜でも受験していた者の比率
約75%以上 |
約50〜75% |
50%程度 |
約25〜50% |
約25%以下 |
52 |
23 |
2 |
1 |
1 |
*予想されたことですが、前期と後期で同一校を受検した者が大多数でした。
(ウ) 前期・後期あわせて募集定員枠を越えて合格者をとったか
1人 |
2人 |
3人 |
4人 |
5人以上 |
8 |
8 |
6 |
4 |
1 |
*半数の学校で、発表後の辞退者が出ています。5人以上のところもありました。
(エ) 後期選抜合格発表後に取り消しがあったか
1人 |
2人 |
3人 |
4人 |
5人以上 |
24 |
6 |
4 |
1 |
0 |
*半数の学校で、発表後の辞退者が出ています。5人以上のところもありました。
(オ) 後期選抜の中で学区外枠25%の応募状況に変化があったか
↓内訳
内容
- 増加した。 11
- 数名程度であったが、従来はなかった、遠距離からの受験があった。
- 例年学区外枠にからむ選抜はなかったが本年は受検者も多く学力の高い者が多かった。 など。
(カ) 前期選抜・後期選抜を合わせると25%に変化があったか
内容
- 増加した。 10
- 減少した。
- 前期不合格者が後期で本校を受検しない傾向があった。
*学区外志願者が増加したのは2割程度の学校でした。
学区外への高校へ進学したいというニーズは、実態としては小さいものであることがうかがえます。
(キ) 過年度生をどのように扱ったか
内容
- 他の受験者と同様に扱った。 7
- 資料欠。 7
- 資料欠の扱いで、学力検査のみ。 6
- 推定値として評定を使った。 2
- 学力検査を元に相対評価の数値を算出。
- B値から推測した。
- 中学での評点以外で学力検査の結果および調査書の記載事項等を参考にした。 2
- 学力検査の結果、面接結果で判断した。 2
- 資料欠として扱った。合格ラインにあるかを判断した。 3
- 1次選考で合格者に該当するかを素点のみで判断し、2次選考では他の受検生と同じに扱う。
- 資料欠扱いとし残20%において他の受検生と同等に扱う。 2
- 資料欠の扱いで、学力検査の結果、面接結果とともに中学の成績を参考にして総合的に判定した。
- 調査書記載事項の中を加点できるものは加点。後期は数値のみの選考なので他の受検生と同等。
など、多数。
*県の規定はありますが、各学校でそれぞれ苦労して公平公正な入試を行おうと努力している様子がわかります。次の(ク)も同様です。
(カ) 長欠申請のあった受験生をどう扱ったか
↓内訳
内容
- 選考に使える資料のみを使った順位をだした。
- 評点を用いない部分では他の受検生と同様に扱い、評点を用いる部分では、評点以外の要素について、別の基準を設けて選考した。
- 記載事項については、同等に扱った。
- 長欠を選考の資料には入れず、他の記載内容で、他の生徒と全く同じ。
- Aのみ欠く扱いにした。 3
- 資料欠として扱った。 5
- 総合選考の後、2次選考(学校独自の選考)の前にB値を基準として選考した。
- 評定以外は、他の受検生と同様に扱った。 2
- 学力検査、調査書の記載事項で選考を行った。(二次選考での総合的な選考)
- 学力検査を中心に総合的に選考した。 4
- 学力検査のみで判断した。 6
- 1次選考で1次選考合格者に該当するかを素点のみで判断し、2次選考では他の受検生徒同じに扱う。
- A値を抜いた値でボーダーの受検生と比較。
- 資料欠扱いとし残20%において他の受検生と同等に扱う。 3
- 調査書記載事項は判断材料とせずに、ボーダーで他の受検生と共通する資料を比較して判断。
- 調査書記載事項を読み取り点数化。
- 調査書は資料とせず、面接と学力検査で判断。
- 調査書記載事項を見た上でB順による選考。
2.後期選抜の問題
(ア) 入選作業の体制および勤務条件について問題となったこと
内容
- 学力検査が月曜日だったために、休日出勤が避けられなかった。(ほか、月曜入試で休日出勤となる問題を指摘する意見 15)
- 2時間をこえない(特勤がつけられない)勤務が連日続いた。(ほか、特勤を使い切ってしまうなど特勤関係の意見 7)
- 入選担当の者が他の委員会にも属し、業務が重なることが多い。(ほか、業務多忙を指摘する意見 9)
- 日程があまりにも厳しすぎ、点検にも時間がとれない。(ほか、日程の問題を指摘する意見 9)
- 再編対象校であり、入選作業が新校準備組織や合同委員会に集中した。選抜会議の問題。 3
- 17時までに入選作業が終了しないことが多く、過重負担。入選特勤をもっと増やす、時間外実績としないなどする必要がある。 12
- 過度のチェック作業が負担過重である。(ほか、点検作業についての意見 21)
- 答案用紙の書式がチェック作業を考えたものになっていない。 2
- システムを使用せずに全てのPC処理が各校対応となった点に問題が大きい。
- マークシートが必要。
- 記述式、漢字などの問題はやめるべき。
- 入選システム(県の)自体に問題がある。
- 現行の学検実施と採点方法では、教員は過度に疲労してしまう。事故防止に適さない実施方法である。学検は、大学入試のセンター方式など他の方法を考えてほしい。
- コンピュータを操作できる人がいない。
- 前年度からの引き継ぎがうまくいかなかった。
- 作業ミス防止のため、作業方法を変更した。
- 調査書のチェックがなくなり、機械的に作業が出来るようにはなったが、前期にひきつづき、後期の入選で、入選期間の長期化から、徒労感の増大。
- 前期と比較して余裕があった。 3
- 定時制も同時ということで、会場の確保などで大変。 3
ここの自由記述欄には、多数の分会から切実な声が寄せられました。上には、それらを無理やりにまとめてあります。特に多かった意見としては、
(1) 過度のチェックを指示され、業務が多忙となるだけでなく、その有効性が見いだせず苦痛である。
(2) 業務が多忙であり、本来の業務に支障を来し、また時間外勤務が非常に多くなった。
(3) 月曜日の学力検査にはさまざまな困難がある。
といったものでした。
校長は、私たちのこのような声を、上へ伝えようとはしていません。私たちは、組合本部を通じ、少しでもましな入試となるよう、県教委へ要求し続ける必要があります。
(イ) 英語リスニング試験と放送設備
その他の問題点
- 設備の老朽化のため、いつ故障があるかわからない。 3
- 校外から入る雑音(竿竹売りなど)が受検生の神経に障っているようであった。
- リスニングテストは止めるべきである。 2
(ウ) 前日準備と問題受領
1.管理職以外に何人出勤したか
1〜2人 |
3〜5人 |
6〜10人 |
10人以上 |
10 |
25 |
45 |
11 |
2.問題用紙点検に要した時間
1時間未満 |
1時間程度 |
〜2時間未満 |
2時間程度 |
2時間以上 |
2 |
9 |
9 |
37 |
23 |
3.回復措置をどうしたか
A 特勤 |
B 半日振替 |
C 1日振替 |
D 変則 |
E なし |
8 |
70 |
2 |
10 |
1 |
入試前日の日曜日に、問題受領と冊子確認のために出勤する必要が生じました。その人数は5人から10人程度のところが多かったようですが、ほぼ全職員が出勤した現場もあったようです。問題の到着を待って、用紙の点検を2時間程度かけて行い、他の業務を合わせて行って半日の振り替えで処理した…というのが標準的であった、という結果でした。
上記以外の問題
- 再編対象校であり、統合準備で忙しく実質的に振り替えが取れない。
- 月曜入試は問題である。 10
- マークシートを導入するべきである。 2
- 多くの教職員が入試前日に試験問題に触れることは不適切である。 2
- 中学調査書記載の方法に統一性が必要。
など。
(エ) 第2次選考における調査書について
1.記載事項等の内容の点数化
A 後期は点数化していない |
B 前期ほど細かくない |
C 前期と同じ基準 |
D 前期より細かい |
E その他 |
25 |
16 |
31 |
2 |
5 |
E その他
2.前期と比較して比重は
A 前期より重い |
B 前期と同じ |
C 前期より低い |
3 |
16 |
44 |
第2次選考における学力検査の結果について
(オ)傾斜配点していますか。
(カ)採点・点検に時間がかかったが、それがスケジュールに影響を及ぼしたか
A なかった |
B 採点を次の日 |
C 入力を次の日 |
D その他 |
61 |
10 |
4 |
4 |
D その他
- 国語の採点基準の問題で時間がかかった。
- 国語のやり直し等でスケジュールがずれた。 2
- 選抜方法を変えない限り、いくら点検をしてもミスはなくならないと思う。 など。
まとめ
- 新聞報道で何度も取り上げられ、問題が顕在化したので、県教委も「平成17年度入学者選抜における実施上の改善に係わる検討の方向性(案)」(2004年5月19日)で、方向性を示してきたようだし、組合本部もアンケートの集計結果などを事前に検討して、今後の対応を情報で発表している。
- アンケートをもとに項目分けするなら、次のようになる。
1. 入試日程上の問題
2. 選抜資料の問題
3. 選抜基準の問題
4. 選抜方法の問題
5.募集計画策定の問題
6.入試を支える設備面での対応の問題
- 入試日程上の問題に関しては、アンケート結果からわかるように、ただでさえ準備日数がない上に、3年生の学年末テストの時期とも重なり、今回の日程は現場に混乱をもたらしている。入試業務に縛られすぎて在校生徒への対応が手薄になっているのは、本末転倒だ、という切実な思いが指摘されていた。改善を強く望む。
- 選抜資料の問題は、今回のアンケートでも多くの批判の声が挙がった。自己PR書の取り扱いも現実はあいまいであった。手間が増えないような改善の方向を提言したい。自己PR書に中学校長の公印が押されるような事態になれば、より点検に手間ばかりかかることになる。あくまでも参考資料というスタンスをはっきりさせるべきだ。
- また、絶対評価を入選資料として使うことの根本的な矛盾の改善は大変難しい。かといって、アテストのような統一テストを復活させるべきではない(アテストが廃止された経緯は、高総検冊子でも配布済み)、まして高校サイドがそれぞれの中学校に格差をつけて判断するような愚挙を行うべきではない。今ある制度の枠組みならば、いくら中学校毎に評定に分布の格差があろうが、その数字をそのまま受け入れていく事務処理体制を取るしかない。観点別評価の項目を調査書に入れ込み、選考の際に採用できるという案も浮上しているが、処理項目が増えていくだけではないか。また、そのことが中学側にどれだけ負担をかけていくかを考えると手放しでは喜べない。
- 調査書の記載事項の統一的な書式も、アンケートでも苦情として上がっている問題だ。高校が拾いたい情報が、今のような項目立てでは、書き方がバラバラで、拾えないという問題である。とはいってもこれは、高校で変更を決定できるという問題ではない。高校サイドとして考えるべきは、中学に出している選考の基準が果たしてわかりやすいものなのかどうかという点を問うべきでないか。
- それぞれの高校の前期選抜の「選考資料」をまとめた分厚い冊子がある。多くの県民は目にする機会はないだろうその冊子はあまりに厚く、内容も細かく、それぞれの基準で微妙に違っている。塾関係者か学校関係者が参考にするのだろうが、それぞれの学校の基準の多様さに目がくらむ思いだ。学校の特色と言ってその細かな基準を中学生に提示するのが、公開なのだろうが、圧力になっていないのか不安に思う。なるべく分かりやすい、シンプルな基準を設定してこそミスの誘発も防げる。教科外活動の項目の単純で細かな点数化は、読みとりミスがあれば、全体が狂う構造にもなっていよう。元々、教科外活動がどう点数化に値するのかということも考えると、それは抑制的であってよいはずだ。
- 高校が要求する項目を中学が完全に満たして回答できるわけがない。例えば、正選手であったのかどうか、は中学の顧問の考え方、高校の顧問の考え方、スポーツ毎の違い、どの時期の大会に焦点を当てるか、果ては、中学生個人の受取り方によっても違う。ことのいちいちを中学は調査書に書くことを要求される事で、一見精度は上がりそうだが、その逆に記述の詳細化、曖昧さはそのままに、複雑さを抱え込むのではないか。統一した基準など話せてはいないのだから、基準が細かくなることで、隘路にはまりこむのではないか。
- 選考方法の問題については、面接の限界や基準作りの難しさを述べた回答が多かった。
- 広義の意味での全体の募集計画の策定は、来年度の学区はずし、定時制の2年続けての不祥事を考えたときに、かなり大幅に改善を望みたい項目だ。公立高校での開門率(収容受け入れ率)が下がっている現実を見るたびに、学びたいものを制度的に拒むような体制はあるべきではないと考える。本当に学びたいのかを生徒に問うのは、その後でも良いのではないか。そこからが高校教師の役割ではないか。
- 前期選抜の募集枠の幅を20%から70%に拡大することで計画が進んでいた。その幅については、各校様々な思惑があると思われるが、アンケートの中にも指摘されていたが、今回のような、前期での大量の不合格者を出して、さらに後期での門が狭いという実態の解消に一定程度活用できたのではないか。今後の展開を待ちたい。
- 入試を支える施設面では、コンピューターの支援体制は、何校かでやはり無理があったが、今後改善の見込みはありそうだ。(後期のリスニングテストの設備は、今回は大過なくすんだ。設備の老朽化が進んでいくのだろうから、毎年緊張は強いられそうだが。)
- 来年度は、学区が外され、ますます県教委の計画策定能力が問われて来る年になる。高校は、特色という名で、自校のレベルにあった生徒を取るのだという方針に拍車をかけすぎずに、様々な生徒を受け入れていく方向性を持つべきで、学校間の競争をお互いに激化させてはいけない。入試の成績で絶対評価を採用せざるを得ないのだとすれば、いわゆる「学校の特色と会わない生徒」が入ってきたとしても、それは問題のないことではないか。
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